【ゲーム感想】よるのないくに
目次
前置き
筆者は2未プレイのため、2については触れない。
Steam版をプレイしたため、Steam版について記述する。
グラフィックス
3Dモデルは安定のガストクオリティ。ソフィーのアトリエとほとんど同時期の発売で、グラフィックもほとんど同じレベルだったように思う。
アトリエに比べると、夜を題材にしている分暗い雰囲気ではあったが、背景もしっかりと作り込まれているように感じた。
会話中の立ち絵表示はないが、3Dモデルのみで十分に成立する。
ただし、フィリスのアトリエに感じた、両サイドに立ち絵代わりに3Dモデルを表示しているがためにキャラの視線が宙を見てしまっている感が時折あった。
イベントスチルというべき絵はなく、各章の開始時になんとなくそれっぽい絵が出るのみ。
コンパクトなシナリオなので、3Dモデルのみで十分に表現されていたようには思う。
サウンド
中央噴水広場からしてあちわ節。主にメルル~黄昏の頃に聞いた曲調で、単調になりがちなやりこみフェーズもBGMのおかげでなんとか意識を保っていられた。
拠点となるホテルのBGMは、穏やかでおしゃれ、聞いていて飽きないなど、アトリエとは違った曲調でありながらその本質はしっかり継承されていて良い。
攻撃のヒット音もしっかり聞かせてくれる音だったし、ダッシュ状態への移行音も耳に心地よかった。
シナリオ/キャラクター
ブルリフでもそうだったが、もしかしてガスト作品のシナリオはこういう方向性を目指しているのかもしれないと思う程に、なんというか語りの密度を意図的に小さくしてあるように感じた。テキストやセリフでの語りを極力抑え、映像だけで表現してあとはプレイヤーの想像力に任せるものだ。
よるのないくにではこの方針がかなり強く現れており、それ故に理解や想像を放棄してしまったプレイヤーも少なくないのでは、と思う。
逆に言えば、深読み大好きなプレイヤーにはしっかりと刺さる類のシナリオであった。
アーナス
本作の主人公。教皇庁のエージェント。かつて、夜の君の血に触れてしまい、半妖になった。
学生時代にルームメイトであったリュリーティスとルースワール島で再会し、共に夜に対処することになる。
夜の君を封じるための聖女1に選ばれたリュリーティスを守ることが任務となるが、アーナスからしてみれば任務など関係なく、全編通してリュリーティスを守り抜くつもりである。
本作は夜だとか青い血だとかの世界観ワードをとりあえず脇において、彼女とリュリーティスの関係にフォーカスを当てて描かれている。
それ故、フォーカス外の世界観についてはプレイヤーが意図して拾っていかなければ理解が追いつかない。
とにかく、アーナスとリュリーティスがイチャイチャしたり喧嘩したりすれ違ったりイチャイチャしたりする、濃い目の百合だった。
毎晩同じベッドに寝てるの、すでに家族では?
リュリーティス共々頑固で、互いを守るためなら自己犠牲を厭わないので、シナリオ中盤はひたすらもどかしい。
強情なリュリュに対してアーナス側が折れるシーンが目立つものの、互いを守る話になるとどちらも引かない。
初回のエンディングでは何もわからず混乱したが、真エンディングではちゃんとふたりで再会してハッピーエンド。
CVはM・A・O。がっこうぐらし!のリーさん、シグルリのアズズ、バレットガールズの彩、ネプセガのドリームキャスト、りりくるRSの珠季ちゃん先生、刀使ノ巫女の寿々花さんの人。
本作においては、この中のどれとも違うイケメン女子な演技が楽しめる。
リュリーティス
もうひとりの主人公。アーナスと再会し、それを喜ぶのもつかの間、夜の君を封じるための聖女に選ばれてしまう。
聖女として犠牲になることは最初から百も承知で、しかし彼女はアーナスを教皇庁の呪縛から解き放つため、その運命を受け入れている。
作中では聖女に選ばれた後から、アーナスと共に夜のミッションには出なくなる。
代わりに、ホテルエンデにおいて給仕として働くことに。アーナスへの呼び方も、給仕としての彼女からはアーナス様になる。
給仕としての仕事は基本的にそつなくこなすようだが、作中イベントのせいでドジっ子の印象も割と強い。
メシマズ勢なのか、彼女が作るカップケーキには極めて強い2殺傷能力が宿るようである。
アーナス以上に頑固で、アーナスのこと大好き。
雑に言ってしまえばお互いに面倒臭い女なのだが、アーナスはアーナスでしっかり受け止めるイケメンムーヴをしてくれるし、リュリーティスもアーナスのことを第一に考えている。
エンディングは彼女との友好度で分岐する。
CV五十嵐裕美。桜Trickのしずくちゃん、はいふりのミーちゃん、とじともの呼吹、フィリスのアトリエのルイスの人。
クリストフォロス
純血の妖魔。公式サイトでもその目的と行動は全く不明と書かれているが、シナリオの最後まで不明なままである。
声の演技がちょいちょい切り替わるので、おそらく中身に複数の人格を飼っている。
メインストーリーでは、永久の夜の訪れを阻むアーナスに情報をくれる。
エンディング後のエクストラストーリーでは闇の楽譜を見つけて徐々に記憶を取り戻し、すべて揃った後、アーナスを呼び出す。
教皇庁への恨みを爆発させてそれをなぜかアーナスに向けてくる。情緒不安定か?
アーナスに撃破された後日、その辺りの記憶が欠けた状態でまたアーナスの前に現れる。
壊れて修復されるたびに記憶が欠けるらしい。
……印コンプのために周回して何度も壊してごめんね。
CV黒沢ともよ。ゆゆゆの樹、バンドリの奥沢美咲、魔女の旅々のサヤの人。
サイモン
ホテルエンデの支配人。アーナスたちをしっかりサポートしてくれる現場監督みたいな立場の人。
落ち着いていて、人当たりがよく、渋みあふれるイケメン。
常識人であり、それ故にぶっ飛んだ連中相手に頭を悩ませるシーンも。
CVてらそままさき。ビビオペのおじいちゃん、Fate/stay nightの葛木先生、BLAZBLUEシリーズの獣兵衛、メルルのアトリエのデジエ様の人。
この声で「おかえりなさいませ、お嬢様」とか言われたいじゃん?
コーリン
先輩エージェントとしてアーナスの前に現れる。
中盤からちらっと名前は出るのだが、実際に姿を現すのは終盤。
めちゃくちゃ血色の悪いへそが特徴的で、デュエリストみたいなヘアスタイルはあんまり目立たない。
その正体は、初代聖女ルードゲートを守っていた騎士。
青い血によって邪妖へ堕ち、数百年の時を生きながらえてきた。
石化の力を持ち、ルードゲートの目的のために歴代の聖女を石化させてきた。
芸術に打ち込むことで人の心を保とうとしていたらしい。
そうまでしてルードゲートを支え続けてきた彼女だが、ルードゲートからの言及はほとんどなかった。
割と一方通行の感情である。
CV佐倉綾音。のんのんびよりの夏海、ビビオペの一色あかね、ごちうさのココア、艦これの長門型、川内型他、バンドリの美竹蘭、マギレコのフェリシア、ブルリフの斎木有理、世界樹Xのネイピアの人。
有角教授
妖魔研究者。世界が夜に包まれて終わることに対しては諦めており、聖女を犠牲にして延命させる方法に対してよく思っていない。
アーナスを助手にしようとしつこく誘ってくるが、すべて断られている。めげない。
ロイドともども、暗くなりがちなシナリオにおける清涼剤。
CV松岡禎丞。さすおにの一条将輝、落第騎士の桐原君、ロード・エルメロイII世の事件簿のフラット、シャリーのアトリエのコルテス兄様、世界樹Xのブロートさん、ルルアのアトリエのニコさんの人。
ロイド
行商人。拝金主義で、手癖が悪く、自分のことを泥棒と言ってしまったりもするが、根っからの悪人というわけでもない。
モテない男子筆頭の有角教授とは正反対だが、息はピッタリ。
CV日野聡。灼眼のシャナの悠二、禁書の浜面、遊戯王ZEXALのしんげ……ベクター、NARUTOのサイ、FGOのナポレオンの人。
ミストラル
エクストラストーリーで登場する純血の妖魔。館に引きこもっており、ある家の相続人が亡くなった事件の関係者かと思われていたが……。
人間に対して敵対的というわけでもなく、それなりに情を持っている。
このような妖魔も存在するのだということを表現するための存在だろうか。メインストーリーには特に関わらない。
対策しないとまず勝てないレベルの裏ボスであり、筆者は作中において最も苦戦した。
CV松井恵理子。みでしの紅緒、バレットガールズ2の冴島嵐、りりくるの各務晴の人。
ルードゲート
初代聖女であり、現教皇。シナリオ中はベッドで寝たきりの老婆として描かれているが、最後の最後にラスボスとして立ちはだかる。
夜の君を倒し、その力を奪って自らが世界の脅威となることで、人類の争いを止めて平和を維持し続けてきた。
ただし、青い血による精神への侵食や、長い時間を生きることによる肉体の劣化を抑えるために、歴代の聖女をコーリンに石化させ、自らの糧としてきた。
パーツの取替だけでは限界が来たため、リュリーティスの肉体をまるごと奪おうとするも、アーナスに倒される。
教皇としてのCVは谷育子。遊戯王ZEXALのばあちゃん、NARUTOのチヨバアの人。
夜の君としてのCVは大西沙織。刀使ノ巫女の十条姫和、ウマ娘のメジロマックイーンの人。
師兄
ブラザーと読む。教皇庁においてエージェントを導く立場か何かをこう呼ぶらしい。
アーナスのご執心のようで、手紙や電話で度々アーナスを支援3してくれる。
アーナスのほうはというと、教皇庁に良い感情を全く持っていない上、支援の方向性が大きくズレている4ことが多いため、必然的に師兄のことも全く尊敬していない。
その正体は黒猫の姿を借りた、元々の夜の君。
力はルードゲートに奪われたものの、威厳はある。
青い血を浴びながら人の心を保つアーナスの行く末に興味があり、エンディング後も特に力を取り戻そうなどと考えてはいない様子。
CV大塚明夫。スネーク、ToSのリーガル、FF12のガブラス、アトリエアーランドシリーズのジオおじさま、Ghost of Tsushimaの伯父上、DQ11Sのジエーゴの人。
従魔たち
アーナスに従う従魔(セルヴァン)。独自言語でしゃべるラウネー系がかわいい。
システム
ステージ攻略型無双アクション
アーナスを操作し、従魔を召喚して行く先々に現れる邪妖を斬り伏せながら進んでいく無双アクション。
最初からアーナスはそこそこの範囲攻撃ができ、魔剣ヨルドが使用できるようになると更に攻撃範囲が広がる。
一斉に大勢の敵を巻き込むのは結構気持ちがいい。
一方で、クリア後の難易度になると囲まれて殴られると一瞬でHPが溶けてしまったりも。
特殊技による無敵時間は有用だが、テンポが崩れるので一長一短であった。
血の奉納(デスダン)
邪妖を倒すことで得られる青い血を溜め、ヨルドの祭壇に捧げることでアーナスのレベルを上げることができる。
レベルを上げるとスキルが増えたり、新しい武器が使えるようになっていく。
終盤は必要な血の量がかなり多くなるが、トロコンを目指すならあっという間にカンストするので問題にならない。
昼間依頼・昼間行動
昼間には街の人の依頼に答えたり、趣味などに興じて過ごすことができる。
昼間行動の内容はフレーバー程度ではあるが、行動次第でアーナスがスキルを覚えるために必要な各種ポイントを得る。
昼間行動の種類は昼間依頼の達成で増やすことができ、昼間依頼は特定の昼間行動をすることで増えていく。
条件はややわかりにくいものの、ひとつずつ昼間行動をやっていけばいずれ昼間依頼はすべて出てくる。
昼間依頼・昼間行動は、夜の出撃後3分以上経過してからホテルへ戻ると自動で処理される。
交易
ロイドに依頼し、商人を世界各地に派遣できる。
昼間行動と同じく夜出撃後3分で処理され、所定回数処理されると派遣先の特産品を持ち帰ってくれる。
距離が離れているほど派遣に必要なお金は増えるし、持ち帰るまでの処理回数も増える。
すべてのエリアの特産品をそれぞれひとつ以上入手することでトロフィーが獲得可能。
派遣にお金がかかる上、持ち帰ってくる特産品はさほど良い効果のものがないので、ストーリー中は空気になりがち。
ただし、オセアニアの2枠目が従魔召喚用アイテムとして他で購入できないものなので、それは早めにやっておくと良い。
お金がかかると言っても、お金を消費する機会はさほどないので、とりあえず派遣だけしておくと実績コンプへの近道になる。
武器チェンジ
夜出撃時、方向キーによってアーナスは使用武器を切り替えられる。
長剣、短剣二刀流、戦鎚、銃、そして現在の武器の方向に長押しで魔剣ヨルド。
スキル習得で、攻撃コンボ中に切り替えが効くようになり、切り替えのテンポも悪くない。
が、移動や方向転換に左スティックを用いる上、更に方向キーに手を伸ばそうとすると割と忙しい。
モンハン持ちしなければならないほどではないが……。
変身因子
アーナスは邪妖を攻撃するとゲージを溜める。そのゲージを消費して変身することができる。
変身形態は従魔のデッキ構成によって変わる。
従魔はそれぞれ変身因子を持っており、因子の合計値が10以上かつ最も多い形態に変身する。
デモンフォーム、ラビットフォーム、ファントムフォーム、アーマーフォームの4種類に加えて、クリア後にナイトメアフォームが追加される。
ナイトメアフォーム用の因子はクリア後にアクチュアライズするとランダムで発現するため、スティールハデスのナイトメアフォーム因子持ちはちょっと苦労した。
クリア後専用のフォームだけあって、ナイトメアはとりあえず攻撃ボタンを連打しているだけで大型ボスのHPを溶かすことができる。
デフォルトのデモンフォームもヒット数は多いが、ナイトメアフォームほどではない。小型の相手にはやや有利かもくらい。
ファントムフォームは特殊技で従魔のSPを回復できるため、高火力の従魔にひたすらバーストさせ続けることも可能。
ラビットフォームはいまいち使い所がわかっていない。定点攻撃できないし……。
やりこみ
実績コンプ
一番しんどかったのは依頼300回。その次が闘技場全課題クリア。
依頼300回
現在の達成数がわからないのがしんどい。
必要回数が多いので、探索系をひたすら受けてぐるぐる回すのが近道か。
交易や昼間依頼も達成しようと思うと出撃ごとに3分待つ必要があり、時間はかかる。
80体アクチュアライズ
従魔を80体アクチュアライズする。
アクチュアライズ用のアイテムは血を払ってラスダンのショップで購入可能。
ただし、1種類につき10体までしかアクチュアライズした状態にできないことに注意。
従魔1000回召喚
出撃ごとにしっかり召喚していれば、依頼300回のうちに達成はできるだろう。
10000体撃破
筆者はこれを最後に残した。
依頼の道すがら邪妖を薙ぎ払ったりしながら数を稼いでおけば、そこまで時間はかからないはず。
余った分は闘技場の百体斬りを数回繰り返して取得した。
闘技場全課題クリア
星3でクリアする必要はないが、ものによってはかなりパズル感があるので、装備をしっかり集めてから挑みたい。
ハーメルンの笛やヴラドの紋章が特に重要。
アイテムコンプ
装備アイテムは各地のショップで売っている限定品が見落とされがち。
お金と血さえ集めておけば買ってしまえる上、ドロップ限定品もクールブリゼ宮のミミックマラソンでサクッと集まるはず。
防御無視のメイサーソウルを育てておくとなお楽。
印コンプは、依頼で入手可能な分を終えたらクリストフォロスマラソンするのが良い。
常闇の回廊でも良いらしいが、筆者はクリストフォロスのほうが楽だった。
なお、宝箱から確定でレアアイテムが出るため、マリゥの編成は不要。編成しないほうが敵が弱く、楽に回せる。
闘技場オール星3
実績コンプには不要。かなりパズル要素があり、アクションの精度も求められるため、筆者は諦めた。
常闇の回廊
無料DLCの追加ダンジョン。手に入るアイテムは強力だが、最終装備を整えたり従魔たちもきっちり強化してから行かないとあっさり溶けるので、やることがなくなった人のための腕試し用。
総評
シナリオはコンパクトだったが、やりこみはちょっと重いゲームだった。
システムもシンプルで、クリアだけならあまり難しい操作が要求されないのは良かったと思う。
百合としては、アーナスとリュリュのイチャイチャっぷりがこれでもかというほど見られたので満足している。