【ゲーム感想】ライザのアトリエ2 〜失われた伝承と秘密の妖精〜
前置き
筆者はアーランド/黄昏/不思議シリーズ及び前作をプレイ済みの救いがたい百合豚である。
本記事には本作及び前作のネタバレを含むため、未プレイの方は注意してほしい。
グラフィックス
前作同様、世界の解像度が高くて良い。
島であったため水の描写を多く見た前作だったが、本作ではそれよりも人工物の描写の割合が多くなっていたように思う。
夏の話であったことは同じだが、前作ほど鮮やかな夏を強調するつくりではなかった。
雨の日に外に出ると、メインキャラクターの服がびっしょり濡れる。
特にライザはピッタリと肌に貼り付くような描写がされており、クラウディアの情緒が心配になる。
OPは良くも悪くも続編という感じで、個人的には前作ほど印象には残らなかった。
イベントスチルは要所要所にあり、メインキャラについては各キャラクター最低でも1枚はある。
相変わらず、ライザの太ももはヤバい。
ヤバいというか、ベルトで圧迫されて跡がついてしまわないか心配になるレベル。
休憩の絵も色気がぶっ飛んでおり、クラウディアの理性バイバイまで秒読みである。
エンディングの集合絵は王道で良い。メインキャラクターに加え、アンペルさん、リラさん、ボオスも駆けつけてくれる。
サウンド
本作のアトリエBGM 新たなる冒険の拠点
は裏谷玲央さん1が手掛けた曲。
アコースティックギター(クラシックギター?)の音が心地よく、やはり無限に聞いていられるのはシリーズ共通。
タイトルの 新しい大冒険~from ひと夏の大冒険~
は、前作の ひと夏の大冒険
アレンジ。
前作よりも少し大人になって落ち着いた、けれどまだまだエネルギーにあふれるライザたちらしい曲になっている。
フィールドの曲は昼と夜で違い、昼は明るめ、夜はしっとりめのアレンジになっていて、これもまた飽きない。
ラストダンジョンで流れる 終の歴史を超えて
はイントロからかっこいい。
後半の木管と金管が交互に来るパートもしびれる。エンディングテーマ Hands
のフレーズアレンジがたまらなく気持ち良い。
本作の戦闘BGM 芒種、鼠黐の薫風
白露、萩の上風
It's all uphill from here
はありがとうアサノハヤト節三点セット。
イントロからウッキウキだったり、サビが気持ちよすぎて戦闘が苦にならないどころか、強くなるにつれて戦闘時間が短くなってサビまで聞けないのが寂しくなるくらい。
他では、 流離のトレジャーハンター
がワイルドアームズみがあって印象に残った。
SE面では、セミの声は(健在ではあったのだが)前作ほど強く印象に残らなかった。
ライザがあちこちを常に走り回っているので、様々な地形を叩く足音が心地よい。
シナリオ/キャラクター
前作よりも話の内容をややわかりやすくしたように感じる。
そのせいでか、セリフ回しにやや違和感があった。
難しい表現を避けようとしたからなのか、話の流れをわかりやすく説明するセリフがなんともフワッとしてしまっており、締りのないシーンが目立った。
また、時折「**すれば良いじゃん」を潰すためのセリフも目についてしまい、これもまたメインシナリオへの没頭を妨げていた2ように思う。
ただ、シナリオの大筋は面白い。
錬金術に関わる遺跡の調査から始まり、王都周辺に5つの遺跡があったその意味を解き明かす流れは、プレイヤーにとってもワクワクする冒険であった。
ところどころに前作を知っていることが前提の描写がある。
本作のシナリオを楽しみ尽くすには前作からプレイするほうが良いだろう。
世界観については探究手帖である程度説明されているものの、謎だらけである。
DLCでもいくらか補強はされるようだが、筆者はDLCエリアには手を付けていない。
メインキャラクター
ライザリン・シュタウト
前作から主人公として続投、太ももの錬金術士ことライザ。
家の手伝いをサボって遊び歩いていた悪ガキも3年も経てば成長し、島では子どもたちに勉強を教える先生の立場に。
快活で冒険好きなところは健在で、悪く言えば警戒心がない。常にガンガンいこうぜスタイルなので、下手打つとそのうち死ぬぞ……?
メインシナリオ中では、遺跡の記憶を見るためにその場で倒れては仲間に心配されるシーンが繰り返され、ややくどい印象を受けてしまった。
本作での彼女の成長は、シナリオの最後に描かれるフィーとの別れを決意するところであろう。
がむしゃらに前に進み続けて目的を達成した前作と、がむしゃらに進み続けても届かないものがあることを思い知る本作とで対比構造になっている。
この二つを経験した彼女が次にたどり着く答えは気になるところ。
本作の世界観が謎だらけであることも含めて、次回作が待たれる。
フィー
ライザがモリッツさんに託された虹色のタマゴから孵った謎の生物。
性別不明。もしかしたらそういう概念は無いのかもしれない。
マスコット的な存在で、かなり表情豊か。小動物好きには可愛く見えることだろう。
その正体は異界の生物であり、異界の魔力を摂取しなければ長く生きられないということ以外、メインシナリオでは詳しく語られない。
探究手帖にも情報があることにはあるのだが、それでも詳細は不明。
クラウディア・バレンツ
ライザへの感情が重そうと前作の記事で語ったが、マジで激重感情をお出しされて百合豚大歓喜であった。
彼女のキャラクターストーリーを進める中で、幾度かプロポーズ同然のセリフが繰り出され、尊みのしもべであるところの筆者は拝み倒していた。
レント・マルスリンク
脳筋少年は成長し、ガッチガチの戦士に。
身体は大きくなっても心は追いつかず、という話だった。彼のシナリオにおけるリラさんのセリフはなかなか心にぐさりと来る。
タオ・モンガルテン
前作の小柄で気弱な少年は全く別人と言えるほどに成長した。
不思議シリーズのオスカーと同じレベルで、誰だお前と叫んだプレイヤーも少なくなかろう。
根っからの研究者気質で、物事に熱中すると周りが見えなくなる。ボオスにも度々咎められている。
長年オタクをやっている紳士淑女の諸君にも覚えがあるのではないだろうか。そういった意味で、彼のキャラクターストーリーは親近感の湧くシナリオであった。
なお、彼自身のシナリオ以外ではパティやらカリナやら、ややラノベ主人公属性がついている。
CVは寺島惇太。成長に伴い、声変わりしている。
パトリツィア・アーベルハイム
貴族の娘。ライザたちより年下で、タオに家庭教師をしてもらっている。
真面目なのだが、貴族であるが故に立場の違うライザたちからすると天然とも取れるシーンがあり、可愛い。
そして、長巻使いである。
小柄な少女に大きな武器。これほどのオタクキラーがあろうか。
大きな武器に振りまわされることなく、ダイナミックにガンガン動く感じで見ていて楽しい。
戦闘ではライザを差し置いて彼女を一番よく使っていたような気がする。
キャラクターストーリーは、百合豚としては複雑な心境になるものだったが、大丈夫。
気がついたらライザへの感情が大きくなっており、王都を飛び出してクーケン島までやってくる未来が筆者には見えている。3
CV大空直美。このはな綺譚の柳の人。
クリフォード・ディズウェル
カウボーイハットの胡散臭いトレジャーハンター。
ロマンを求め流離う一方、トレジャーハンターの泥臭い現実も知っている頼れる大人。
現実的である一方で根っこは熱い男であり、そして何より親切。
CV竹本英史。ジパングの柳、遊戯王GXの迷宮兄弟兄、ToVのレイヴン、ギャグマンガ日和の妹子の人。
セリ・グロース
オーレン族。リラさんも大概だったが、この人もめちゃくちゃ際どい衣装。
ひたすら落ち着いたローテンションガール。
あまり他のキャラと絡むイベントがなく、印象が薄め。
ただ、年齢ネタトークの理不尽さはちょっと笑ってしまった。
CV藤井ゆきよ。
重要サブキャラクター
ヴォルカー・アーベルハイム
ライザに、今作のアトリエとなる部屋を化してくれる人。
平民から実力で貴族になった人物で、その地位を維持することに心血を注いでいるようだ。
パティの父親でもある。娘を思うが故に厳しい態度を取ってしまう父として描かれている。
CV新垣樽助。
ボオス・ブルネン
前作から続投。タオやレント同様、彼もかなりガタイがよくなっている。
フィーに頭に乗られたり、タオの遺跡オタクトークを聞かされたりと、なかなかの苦労人。
文句を言いながらも結局は受け入れたり面倒を見たりしてくれる優しい男。
キャラクターストーリーでは、彼なりの葛藤と共に3年で成長してきたことが伺える。
この流れで行くと次回作でプレイアブル化してもおかしくないだろう。
なお、父君モリッツ・ブルネン氏はシナリオ導入でちょっと出てくるきりである。
ゼフィーヌ・ボドワン
カフェの店員。ソフィのアトリエで言うところのテスさん。
ライザたちが訪れるカフェで癒やしのひとときを提供してくれる優しいお姉さん。
彼女とデニスのみ、サブキャラクターだが専用スチルが用意されている。
CV逢田梨香子。
デニス・ホーラント
鍛冶屋のお兄さん。スキンヘッドではない。4
優しいお兄ちゃんって感じ。
CV八木沼凌。聞いていて心地いい優しい声。
ロミィ・フォーゲル
前作の行商ロミィさん、ボイスを獲得。
目の横に指を当てる専用ポーズが可愛い。目からビーム出そう。
新人ちゃんという後続を育てながら、王都でもその商才を遺憾なく発揮している。
新人ちゃんとは同じ部屋に住んでいるようだ。何も起こらないはずがなく……。
CV長久友紀。声がめちゃくちゃ可愛い。
カサンドラ・カペリ
王都アスラ・アム・バートの外れ、農業区で働く長女。妹たちがいるらしいが、作中には出てこない。
農業やってるが、別に農作業は好きってわけじゃない。その辺りの割り切りがしっかりしている。
CV鈴代紗弓。
アンペル・フォルマー
本作ではパーティに加わらない。最終盤にストーリー展開のために出てくる。
レントやセリのキャラクターイベントに絡むリラと違い、彼は本当にメインシナリオの終盤にしか出てこない。
キャラクターというより、舞台装置に近い立ち位置であった。
リラ・ディザイアス
アンペルと共に登場するが、彼女はレントやセリのキャラクターストーリーにも登場する。
レントに対するセリフが厳し目。彼女らしくはあるんだけど、それでもメンタルに響く。
その他サブキャラクター
ドラリア盗賊団
盗賊団と名乗ってはいるが、別に盗みをやるわけではない。
お金を儲けて貧しい人たちに配る義賊みたいなことをしている。盗んでないので義賊ですらなさそうではあるが……。
最終的にパミラと絡んでプリン職人になるようだ。
パミラ
盗賊団絡みのイベントでのみ登場。プリンの伝道師と化している。
彼女と盗賊団のイベントの中でライザが開発するサルディングは、あのお魚パイを思い出させる。
新人ちゃん
ロミィさん関連のイベントで登場。方向音痴でよく行き倒れており、心配である。
トーマスとメイドさん
貴族のトーマスさんと、彼に仕えるハイスペックメイドさん。
このメイドさん、ルーフェス並に有能なのではないかと思われる。5
ルーネ
病気の父を持つ少女。ライザに助けられて他の子供たちと遊べるようになるが、それ以上の印象が全くない。
クコリッサ
序盤のサブシナリオでのみ登場するモブ。
トーマスとメイドさんイベントのトリガーとして存在する。
カリナ
学園区で暮らす学生。植物が専門らしい。
男性が苦手で、なんとか克服できないかという話をライザに相談したところ、割と斜め上の解決を見出してしまう。
システム
ボード式錬金術
前作同様、素材の属性値でボード上のルートを開放していくタイプ。
通貨がジェムであること、アイテム複製ができること、リビルドシステムで後で効果と特性を盛れることも前作と共通。
そして、最終的に影響拡大+のついた素材を入れてプレイヤーが気持ちよくなるのも前作と同じ。
エッセンス
本作の追加要素。エッセンスにより、ボードの特定マスの効果を強化できる。6
影響拡大+2が元々ついているマスに、対応する属性のエッセンスを垂らすことで、その効果を影響拡大+3にできる。7
また、カテゴリ付与のマスに使うと、付与するカテゴリが別カテゴリに変化したりする。
これのおかげで、終盤の調合は気持ちよくなるための調合と化す。
ただし、エッセンスを入手するには、対応する属性の素材を大量にジェム還元しなければならず、ジェム稼ぎで使われない雷属性のエッセンスは不足しがち。
エボルブリンク
使用アイテムに別の使用アイテムをくっつけて追加効果を発現させたり、別のアイテムに変化させる。
筆者は終盤まで使わなかった。付与される効果が地味なので、エッセンスの影に隠れてしまいがちなシステムであった。
コンテナの容量は常にキツい
前作同様、アイテム複製があり、コンテナの最大容量が固定なので終盤は容量オーバーとの戦いになる。
ロミィさんの店で開発したりジェム還元して空きを確保する必要があり、ちょっと面倒だった。
難易度やや高め
メインシナリオにおける戦闘面の難易度は、これまでのシリーズと比べてやや高めであるように感じた。
一つダンジョンをクリアするごとにしっかり調合していかなければ、次のダンジョンのザコ敵にすら苦戦する。
図鑑から見られる素材の入手場所の表示がわかりにくいことがあるのも、難易度の高さにつながっているように思う。
鎌や斧のランクが高くなければ採取できない素材、ロミィさんにゴールドコインと交換してもらう必要がある素材など、見つけにくいものも少なくなかった。
アクティブタイムバトル
前作同様のアクティブタイムバトル。
本作ではコアチャージも戦闘中に溜めることができ、そういった意味では探索のテンポは崩されにくい。
ただし、前述のように調合をサボっていると難易度NORMALのザコ敵にもボコボコにされてしまうので、しっかりと調合していく必要はある。
スキルチェインの入力猶予が割と短めで、慣れない人にはちょっとつらいかもしれない。
アクションオーダーは前作のような無茶振りがされなくなったため達成しやすくなり、カメラワークも前作よりダイナミックになっているような気がする。
見ていて楽しい戦闘ではあるので、難易度が高くても積極的に戦闘したい気持ちにはなった。
やりこみ
トロフィーコンプ
これだけであればそこまで難しくない。
全員分のキャラクターストーリークリア、小物コンプが残りやすいくらいか。
クリフォードとセリはイベントを進めるためのマップを見落としやすいので注意が必要。
小物コンプのためにはぷに育成が必要であり、特定のぷにでないと持って来ない家具がある。
図鑑コンプ
本作は、調合で作れるアイテムを全種類作らなくてもトロコンできてしまう。
使うアイテムとそうでないアイテムの差が激しいので、使わないものは最後まで調合しないことも。
素材アイテムですら、トロコンに至るまで入手していないものもある。
難易度LEGEND
難易度をLEGENDにしてラストセンチネルを撃破することに挑戦しても良いかもしれない。
ただし、筆者はNORMALで満足してしまった。
これ以上やるにしても、装備とアイテムを作り込んで挑むだけで、やることがNORMALと変わらない。
最強装備作成
前作同様、装備にインゴットや布を放り込むとステータス補正がつく。
そのステータス補正を限界まで詰め込んで装備を作ることで、キャラクターのステータスがグンと伸びる。
筆者は防具と装飾品についてこれをやったが、武器については手を付けなかった。
武器までやってしまうとフェイタルドライブを打つ前にラストセンチネル(NORMAL)が倒れてしまいそうだったからである。
ダメージチャレンジ
ラムロースト2号、3号君がおり、戦闘におけるトータルダメージチャレンジ等もやりこみとして可能。
ここで手に入る家具はコンプトロフィーの条件に含まれないので、やりたい人だけやれば良いだろう。
ダメージチャレンジはジェムが大量入手できるが、チャレンジしようと思うタイミングではもはや古の賢者の石によるジェム量産体制が確立されているはずである。
有料DLCマップ
有料DLCで追加マップが存在する。
筆者はシーズンパスを買ったため入手可能ではあるのだが、まだ導入していない。
総評
前作のシステムをベースに、ボリュームを増した作品と言える。
続投したメインキャラクターたちの成長と葛藤を描いたシナリオは、前作ファンにとっては嬉しい。
システム面も、コンテナの容量以外は特にストレスを感じることなく調合に集中できたので良いものだったと思う。
百合豚としてはクラウディアの感情が百点満点で、大変にっこりできた。
- 元カプコン所属の作曲家。(Twitter)
- ツッコミどころをある程度塞いでおくのは、それはそれで必要なことではあるのだが、あんまりメインの流れの中でやると話のテンポを悪くしてしまいがちである。
- 百合豚、いつもの幻覚症状である。
- なお、あの伝統の鍛冶屋は家具として登場している。
- 少なくとも移動速度や物事を進める手際良さ、諜報能力に関しては同等以上。
- 他にも効果はあるが、マスの効果強化と投入回数増加以外は使わない。
- ただし、必要な属性値も増える。