【ゲーム感想】鏡のマジョリティア
目次
前置き
本記事には鏡のマジョリティア本編に関するネタバレを含む。
まずはネタバレなしで本編を体験することに、非常に大きな意味を持つ作品であるため、本記事をお読み頂く前に鏡のマジョリティア本編を一通りプレイ、クリアしておくことを強く推奨する。
筆者がプレイしたバージョンは1.08a。
グラフィックス
丸っこくて可愛い絵柄が特徴。
登場人物の立ち絵もそうだが、カードに描かれるイラストも総じて可愛い。1
ノートの手書き感あふれる感じは味があって良いが、何かを説明するイラストとしては時に難解。
特に34ページのぎしんあんきっずがかわいい。
サウンド
BGM, SEの選び方は総じて違和感なく、特にSEの入れ方は気持ちがいい。
終盤の盛り上がる展開に合わせた選曲も見事。
シナリオ/キャラクター
世界観からシステムと密接に関わっており、ストーリーもそれに沿ったものとなる。
その都合上、開幕は何を言っているのか全くわからない。
が、気がつくと登場人物が何を言っているのかだいたいわかるようになってしまう。かなり不思議なストーリー体験ができる。
内容的には遊戯王をちょっとマイルドにした感じ。GXと5D’sの中間くらいの空気感。
また、本作のメインストーリーの中で語られる作中の神話の登場人物は古の魔女たちである。
カードイラストで語られるバックストーリーはやはりちょっと暗い展開のようだが、結構百合を感じる。2
魔女たちの神話はメインストーリーとリンクしているところがあり、特にラストのタイガとAGIATによるタイトル回収は激アツだった。
そして、エンディングの優勝者コメントはあまりにもあんまりで大笑いしてしまった。
モッキーのコメントがあまりにも正常で、それも面白い。
メインストーリーではキャラというよりもカードゲームにフォーカスする部分が多かったので、以下カードイラストのバックストーリーに触れていく。
ぎしんあんきっず
疑心暗鬼を煽って相手を破滅させるいたずらが大好きな女の子。
おそらく、直後に攻守逆転によってわからせられそうになっている。
全軍突撃では諸悪の根源と言われ、狙われているようだが、それでも笑っている。
最後には孤独な死神のイラストにあるように、一人ぼっちになってしまっているが、それでも笑っているようである。
路地裏商人の娘 ララ
ろくでもない父親のもとに生まれ、路地裏で涙を売られる少女だった。
路地裏商人の娘の涙のフレーバーテキストから見るに、おそらくはそういうことなのだろう。
だが、彼女は強かった。
枯れぬ涙の少女ララではついに武器を手にし、枯れた涙の復讐鬼ララとなった時にはもう色々と覚悟がキマってしまっている。
父親について、死んでしまったことは語られているが、彼女がその手にかけたのかあるいは別の展開があったのかは不明。
ガゼル
笑顔を絶やすことのない好青年だった新米冒険者は、戦いを経て親友を失う。
熟練の冒険者となって戦い続けた彼は、やがて老い、老戦士となる。
若き日の姿が、総てを喰らう死霊のイラストに描かれている。
この戦いは彼が親友を失い、顔に傷を負ったものなのか、その後のものなのかは不明。
だが、後に老戦士になっているということは、この局面自体は切り抜けたはずである。
デビル様
ご覧の有様だよ
ヒトに恋したキツネ娘
いわゆる異種族間の寿命差のアレ。
時系列的には執着するキツネ娘のほうが先だろうか。
リッチ、トリデ
がらくた売りの少女だったリッチは、ペンダントの宝石に宿った魔力のお陰で、笑顔の暗殺者トリデに、屋敷に引き入れられる。
リッチは屋敷の使用人となって、無差別級整理整頓を行ったり、ステーキとオムライスのどちらを食べるべきか長考したり、迷子になったりしている。
無差別級整理整頓のフレーバーテキストや、暗殺屋敷の休息のイラストから見るに、雇い主であるトリデを無自覚に振り回している様子。
ここまでならほんわかストーリーだが、結末はろくでもない。
最期のトリデを見るに、最初はペンダントが目的だったトリデも彼女に情が湧いたのだろう。
そして、そのペンダントを狙う輩は他にもいたのだ。
トリデは命と引き換えに彼女を守り、残されたリッチは遺産相続人の少女リッチとなった。
暗殺屋敷の休息で二人が座っていた机に、彼女一人が残されて俯いているイラストは、人の心のなさを感じさせる。
システム
カードゲーム用語推理ゲーム
本作の主役は、MtGを参考に作られたカードゲーム「マジョリティア」。なのだが、プレイヤーは単にカードゲームをするだけではない。
本作は、用語のすべてについて意味が直接的に説明されず、状況から推理させるようになっている。
そして、その意味を推理しながら、マジョリティアにおける最適な行動を探っていくのが本作の趣旨だ。
なんと、カードの動かし方も含めてプレイヤーが頑張って推測して動かしていかなければならない。
ドロー、コレクト、リサイクル、キャスト、バニッシュ、サモン、アタック、オブリビ、デスマナ、ターンエンド……。
これらの用語が意味もわからないまま叩きつけられ、その意味を推測して、ゲームを進行させる必要がある。
ちゃんと答え合わせのフェーズも存在する。
主人公TAIGAがノートに描いた特徴的なイラストの空欄に、プレイヤーが用語を当てはめて、友人のスペクタが合っているかどうかを確認してくれる。
ノートの用語を正しく埋めていくごとにゲーム進行の中で自動化できる部分が増えていき、プレイの快適性が上がっていく。
最初は意味が全くわからなかった用語も、進めていくうちに少しずつ理解できるようになり、キャラクターたちが何を言っているのかわかるようになる。3
推理したルールに従ってカードゲーム
NPCと1対1で戦う形式で、詰め将棋を行う。
詰め将棋と言っても解法がガッチガチに縛られているというわけではなく、必ず2~3通りの解法が用意されているようである。4
プレイヤーは基本的に、初期デッキと5枚のサイドカードを入れ替えて使うことしかできず、対戦相手しか使えないカードがたくさんある。5
ただし、不思議な力によってプレイヤーは、ドローに運が絡まないようになっている。
これを活用して、並み居る強敵たちをクップクさせていくパズルゲームというわけだ。
普通にいろんなアバター、ソウル、マジックを使ってみたい気持ちはある。6
総評
シナリオとシステムを見事にリンクさせた、バリバリに頭を使うパズルゲーム。解けた時の快感が大きいため、できるだけ初見のプレイヤーには何も見ずにウンウン唸って解いてほしい。
シナリオ面はカードのバックストーリーの仄暗さと、メインストーリーの熱さどちらもクセになる。
魔女のシナリオをもっと深く読みたい。メアさん、恋していたってどういうことですか。そういうことですよね!!7
ノートを正解で埋めていったり、デュエルでライアーのタクティクスペラを華麗にいなしてマナフリーなデュエルができるとコニコ。
解法がわからずにワカラセを受けるとピエンだが、アバターやソウルは必ず答えてくれる。
アバターのビッグバンは大変ユニークで面白く、クリア後にフリーモードで別のアバターなり、ソウル・マジックを使えるようになってほしかった気持ちはある。
だが、総じてマナフリーなゲームで、時間を忘れて楽しめた。
ありクイ。