【ゲーム感想】FF5 ピクセルリマスター
目次
前置き
筆者がプレイしたのはSteam版バージョン1.1.1。
筆者とファイナルファンタジー
【ゲーム感想】ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて S同様、筆者が人生においてFFとどう関わってきたかを軽く記しておく。幼い日に触れたFF5が初のFF体験であった。
黒魔法のエフェクトやモンクのクリティカル、ビッグブリッヂの死闘に心をがっしりと掴まれ、ひたすら遊んだのを今でも覚えている。
当時はこちらの行動に対するカウンターなど全く意識できなかったためか、結局ネオエクスデスを倒せないままにSFC本体が壊れてしまい、FF5の初クリア自体はPS版を買って遊ぶまでできなかった。1
PS2で遊べたのでPS版コレクションで4~6を遊び、8、10、9、7とひたすらFF漬けの青春を送った。
もはや当時の友人はSNSで数えるほどしか観測できていないが、HTMLを勉強してFFシリーズのファンサイトまで作っていた。2
サイト閉鎖後しばらくはFFシリーズから離れていたが、一応12のインターナショナル版を序盤だけ遊んだように記憶している。
5, 6を深く信仰していた当時の自分には3とにかくコレジャナイ感が強く、FFから離れる期間が長かったのはその体験も大きく影響していたように思う。
その後、DSリメイクの3, 4を遊んだのが、ピクセルリマスターが出る前の最後のFF体験だった。4
ピクセルリマスター発売のニュースを見て、すぐにSteamバンドル版を予約したのを覚えているので、購入した時期自体はもう4年前になる。
1から順にちまちまと遊んで、ようやく思い出の5にたどり着いたのが昨年11月。
何もかも覚えているからとブーストでABPを4倍にしてスイスイ遊んでいたにも関わらず、じっくり2ヶ月遊んでしまった。
4もそうだったが、5も今遊ぶとかなり新鮮だった。
30年前に初めて遊び、その後も何度もクリアした作品だったし、どこで何が起きるか、誰に何が効くかなどは把握した上で遊んだが、それでも新鮮に楽しめた。
グラフィックス
キレイにリファインされ、当時の感動がそのまま鮮やかに蘇った。
幼少期のバッツや、ステラのグラフィックが独自のものになったり、エアロ系をはじめ、エフェクトが変わっているところもあったが、概ねオリジナルに忠実に作られている。
画面が16:9になったおかげで、ネオエクスデスの根本側が描写されたのはちょっと面白かった。
何と言っても、エンディングのドットが高解像度で見られるようになったのが熱い。
サウンド
BGMはピクセルリマスターすべてに共通するが、オリジナル版とアレンジ版を設定で選ぶことができる。
アレンジ版も原曲をしっかり残しているため、思い出に浸るのを邪魔せず、ループしたかと思えば2周目に微妙な変化をつけてきたりと、新鮮だったので、筆者はまずアレンジ版でクリアまで遊んだ。5
5のメインテーマから、最高のアレンジを聞かされて、これだけで値段分の元が取れてしまった。
オープニングが終わったら、まずは 4つの心
をじっくり聞いた。
ループしたと思いきやバックの木管にさらなるアレンジが入って、この時点で、まずはアレンジ版で一通りプレイしようと決意した。
全アレンジ良いのだが、思い出補正という面では 大いなる翼を広げ
古代図書館
暁の戦士
辺りが刺さる。ビッグブリッジの死闘
はイントロで泣くギターから最高。マンボdeチョコボ
の「ウッ」がイントロのみになってしまったのはやや寂しかったかも。
親愛なる友へ
ファイナルファンタジー
からの エンドタイトル
の流れは、FF5の冒険を総括する最高のエンディングなので、未プレイの方にはぜひプレイして体験してほしい。
最新ハードでこの感動が味わえるようになったのは、本当に幸福なことだと思う。
効果音はグラフィックス同様、概ねオリジナルに忠実だが、一部差し替えになっている。6
黒魔法の発動や、モンクのクリティカルの気持ちいい音は再現されており、30年経っても病みつきになる。
シナリオ/キャラクター
当時の作品について、偶数ナンバリングはシナリオ重視、奇数ナンバリングはシステム重視という言説があった。7
ところが、いざプレイしてみると、5も決してシナリオを重視していないわけではないどころか、キャラクターの感情についてかなりしっかりと描かれている。
全体的に明るい雰囲気で、困難が立ちはだかっても「でもやらなきゃ」「なんとかなるさ」の精神で突っ込んでいく前向きさの印象が強く、それ自体も間違いではないのだが、感情が描かれるところはかなりズッシリと来るものがある。
バッツ・クラウザー
キャラクターの名前はゲーム開始後、レナを助けるシーンで自由に設定可能。
SFCの当時はデフォルトが最初から入力された状態ではなかったような気がするが、ピクセルリマスターでは入力済みの状態から始まる。
第2世界におけるギードをツンツンするシーンや、第3世界のクルルとのどつきあいなど、20歳児などと言われる彼だが、後者のシーンでは一度どつき返された時点で大人しく引き下がるなど、一応年上っぽいムーブはしている。
高所恐怖症設定は度々忘れられるが、これを覚えておくとバリアの塔でガラフを担いで飛び降りるシーンが熱い。
彼の感情が一番強く印象に残るシーンは、リックスが飲み込まれた後の飛空艇暴走シーンだろう。
明るく前向きで、いざという時にも落ち着いていた青年の感情の発露として見ると、かなり重たい。
ルゴルやリックスの宿に泊まる際の隠しイベントなど、夜イベントの空気が好き。
レナ・シャルロット・タイクーン
バッツがアレなのでメインヒロイン感はほとんどなく、城を抜け出したお姫様らしく世間知らずなところが強調されるのも海賊たちに身分を明かすところくらいか。
彼女の感情が強調されるのはファリスが姉とわかるところや飛竜関係。
動物をいたわる優しさについては、飛竜やモーグリに関して描かれるところはあるものの、動物の言葉を理解するクルルとややかぶるところがあり、印象薄め。
飛竜草のために毒草を踏み抜いたり、人体に対して有毒な飛竜草を躊躇なく食べてみせる無茶なところは、献身をやや通り越している気もする。
飛竜に乗る前に、レナだけがクルルを特に気にするシーン8があり、印象に残ってはいるのだがどこだったか思い出せない。
シナリオとは関係ないが、みだれうちを習得させ、カイザーナックル装備のモンクにしてタイクーン神拳で大暴れするお姫様になってもらった。
ゲーム外だが、過去に漫画で見た「レビテトって言ってるでしょ?」も好き。
ガラフ・ハルム・バルデシオン
記憶喪失の爺さん。海賊船での都合の良い記憶喪失から始まり、コミカル担当な部分の印象が強い。
それだけに、長老の木でのあの決戦は本当に辛い。
彼の感情が最も強く出ているのは長老の木とバリアの塔だろう。
特にバリアの塔は、文字だけなのに声が聞こえてくるくらい、強烈な印象を受けた。
第2世界に来た後、バッツたちに聞こえないように礼を言うところも好き。
ファリス・シュルヴィッツ
海賊のおかしらだが、トゥールの村で特に諍いが起きていない辺り、やりたい放題する無法者というわけではなさそうである。
最初こそ豪快なおかしらであるものの、実はお姫様かも疑惑や相棒シルドラの最期もあり、全体としては湿度高めなイベントが多い。
レナに感情が向いているようなシーンが目立ち、割と百合オタクの栄養が豊富かも。
海賊たちにあっさり正体を明かす世間知らずな妹がいきなり現れたら、心配にもなるか。
レナは動物9のためには自分の身を顧みないところもあり、彼女が無茶をするたびに肝を冷やしているかもしれない。
シルドラとの別れを経験した彼女が、飛竜と別れる妹をどんな気持ちで見ていたかは、特に語られないが想像すると捗る。
第3世界の「罪を認めるか?」が彼女の中ではかなりコミカル寄りなお茶目さで好き。
クルル・マイヤ・バルデシオン
結構なアクティブ少女。隕石に乗って別世界までおじいちゃんを追いかけてきたり、かと思えば弱いサンダーでタイクーン王を気絶させたり、長老の木に駆けつけるイベントでも気の強さが伺える。
動物の声が聞こえたり、ギードからテレパシー的なものを受信したりと、不思議ちゃん要素も盛られている。
長老の木から去るときの、無言で飛竜の背から後ろを振り返ってフェードアウトしていく演出が胸を締め付ける。
ミドに対する「おじいちゃんを大切にね」が重い。
シド、ミド
「失敗したら、やり直せば良い」
FF5の前向きさを象徴するセリフの一つ。
クリスタルが砕けたことに責任を感じるシドは、孫に教えたこの言葉によって救われ、そして見事に一流メカニックとしてパーティを影から支えてくれる。
シドとミドが一晩でやってくれました、なシーンが作中で2回あるところは、なかなかに愛されていると思う。BGM早回しな演出も健在で、見るたびに好きになる。
エンディング
「終わらないさ。新しい夢が始まるんだ」10
サウンドの項目でも話したが、エンドタイトルにつながる流れで、広大な世界に向けて新しい冒険を始めるところが、FF5らしくてとても良い。
……王族3人がふらふらしてて良いのかって?
なんとかなるさ!11
システム
ジョブチェンジ
FF5と言えばこれ。3から引き継いだシステムではあるが、5はより自由度を増した形になっている。
3は良くも悪くも、特定のジョブを使って切り抜けてね、という解法がある程度限定された形だったが、5は解法をあえて限定せず、プレイヤーの選択に委ねる自由さを重視している。
プレイヤーによって個性が出るシステムで、いろんなプレイヤーの遊び方が可視化されるようになった現代にもマッチしている。12
昔から遊んでいると、強い行動を持つジョブはもうわかりきっているのだが、それでも何を選ぼうか毎回迷うくらいには楽しい。
特にピクセルリマスターはブースト機能でABPを4倍まで引き上げられ、様々なジョブとアビリティの組み合わせをより手軽に試せるようになった。
お陰で通常のプレイではマスターに時間のかかるみだれうちやれんぞくまも比較的気軽に習得でき、FF5の面白さを体験しやすくなったと言える。
筆者としてはやはり、みだれうち+モンク+カイザーナックルのタイクーン神拳が気持ちよかった。
耐性ガバ?
やりこみ動画で広く知られるようになったことではあるが、本作はボスの耐性に穴があることも多い。
あらかじめ指定の青魔法をラーニングしておくと楽になったり、特定のアビリティがぶっ刺さる局面も。
アダマンタイマイや復活後のジュラエイビスにレベル5デスが通ったり、メリュジーヌは開幕でスリプルを叩き込めば後は燃やし放題だったり、レビテト+リフレクトリングで完封できる目玉がいたりする。
ピラミッドや大海溝のようなアンデッドだらけの場所でレクイエムが輝いたり、ラストダンジョンではブレイク剣が無双したりする。
ある意味で「ズルができる」場面が多く、それもFF5の大きな魅力だと思う。
かと思えば、第2世界エクスデスなんかは耐性ガッチリで真っ向からやり合わないといけなかったりして、そういうギャップもまた良い。
やりこみ
全ジョブマスター
先述の通り、ABPをブースト機能で4倍まで引き上げられるので、これを使えば楽に達成できる。
FF5は経験値が多い敵というものが少なく、全キャラレベル99のほうがこちらよりも時間がかかる。
宝箱・アイテム回収率、モンスター図鑑コンプ
曲者。期間限定ダンジョンが存在し、そこで取り逃がすと再走することになる。
筆者は1周目でモンスター図鑑は気をつけたが、宝箱を1個だけどこか取り忘れてしまい、再走した。13
現時点で行けるダンジョンはワールドマップから宝箱やアイテムの数を確認できるので、期間限定のダンジョンに気をつけつつ、第1・第2世界のラスト付近のセーブデータを残すようにしておくとやや安全。
モンスター図鑑に関しては、FF4のような出現率の極端に低い時期限定モンスターは存在しないので、気を付けてさえいればさほど苦労なく達成できるだろう。
アイテムコレクター
ぬすむでの限定入手まで含めると、趣味の領域。
筆者は1周目ティンカーベルを頑張って入手したが、巨人の斧は盗まなかった。
ギルガメッシュから源氏シリーズはしっかり盗むが、通常枠とレア枠両方が設定された盗む限定アイテムは正直やる気が起きなかった。14
総評
令和の時代に、この不朽の名作を最新ハードで遊べる環境があるのは、本当に幸福だと思う。
登場人物の感情にフォーカスしてシナリオを再体験できたのも良かった。
シナリオがしっかり面白くて、システムも良い。
自分のFFシリーズ15の原点を振り返ることができて、本当に良かったと思う。
文句の付け所がないリマスターで、まだプレイしたことのない人には積極的にオススメしたい。
- 初めてクリアしたFFはSFCの6であった。
- 20年以上前の話である。当然、当時のサイトはもう残っていない。
- 今も最推しと言われるとこの2作になるが。
- 11や14については、12の体験の悪い印象やROで培ったMMORPGアレルギー、キャラクターグラフィックの好みのお陰で、今も手を出したいと思えていない。
- 宝箱回収率のために再走する際にはオリジナル版にした。
- エアロ系の独特な音がエフェクトとともに変わってしまったのはやや寂しい。
- どこから出てきたか知らないが、あちこちでそう言われているし筆者もなんとなくそういう感覚を持っていた。
- キャラグラが少しの間だけクルルの方を向いて立ち止まる。
- 特に飛竜。
- DFFエンディングにおけるフリオニールのセリフ。
- タイクーンの大臣の胃が心配である。
- この観点において、筆者はELDEN RINGにFF5らしさを感じている。
- どこかはついにわからなかったが、おそらく古代図書館の忍の衣辺りだろう。
- 裁きの杖とかビーストキラーはしっかり盗んでしまったが。
- というより、RPG体験そのもの。