【ゲーム感想】Nippon Marathon
前置き
本作はいわゆるバカゲーである。
念の為いつもの注意書きをしておくが、本記事にはストーリーのネタバレが含まれる。
筆者がプレイしたのはPS4版である。他プラットフォームの情報は本記事では取り扱っていない。
グラフィックス
3Dモデルはなんというかこう、割り切ってる感じがする。
とにかく遊べればそれで良い。モデルに可愛さとか別になくても良いし、プレイヤーたちはだいたいレース中にひどい目に遭うのでこのくらい雑なほうが良いのだ。
背景も、世界観をちゃんと表現できるレベルには作り込んである。
日本のことをよく理解している外国人が勘違いニッポンをあえて作るとこうなる、という感じで、ニッポンへの愛に満ちあふれており、非常に面白い。ニンジャスレイヤーに通じるものを感じる。
致命的に色々なところが間違っているのに、どこかしっかりと日本の本質を捉えた不思議な世界になっているのだ。
特にネオ人口ステーションの山手線や、シバヤヤ交差点が良い。旅行ガイドの支離滅裂さも楽しい。
主要キャラには立ち絵が用意されており、こっちはちゃんとかわいい。キャラデザがあまりにもシンプルではあるが。
サウンド
BGMは作曲者Robert Ruby氏がSoundCloudで公開している他、オリジナル・サウンドトラックも発売されている。
最初のステージ カワ川ラン で流れるSUPERLOVE RACINGからしてゴキゲンで癖になる。
最後のステージで日本語版アレンジが流れるのも大変良い。
小気味良い効果音も良いし、何よりレースを盛り上げるアナウンサーの音声が素晴らしい。
「ドーン! 日本酒が 爆発したぞ!」「お坊さんの所得申告か」「買い物カートは移動手段として使っちゃダメだよなあ?」
他にも、諸々パワーワードだらけなので、ぜひ本作をプレイして聞いてみて欲しい。
ストーリーにおけるパートボイス……と言って良いのかすらわからないボイスの割当はめちゃくちゃで、フリー素材を適当に当てはめただけである。流石にこれはなくても良かったのでは。
モブプレイヤーがスイカを投げる時に「雷よ!」とか言い始める。
シナリオ/キャラクター
ストーリーモードには一応シナリオがあり、ところどころ怪しげな日本語であるということと、そうはならんやろ的展開が度々あることに目をつぶれば意外にもよくまとまっている。
4人のメインキャラごとにそれぞれの視点から描かれるストーリーで、あるキャラを選ばないと明かされない事実などもあり、悔しいことにちょっと楽しい。
入力受付が妙に硬いこともあり、共通パートが2回目以降面倒であるというところが難点。
なお、エンディングでは映像のみで衝撃的な事実が明かされる。どこかおかしいニッポンを意識して作られた作品とのことだが、これは確かにおかしいわ、と納得してしまう描写であった。
J Darwin(ダーウィンくん)
ロブスターのきぐるみに身を包んだ青年。祖父の農場からやってきたらしい。
Elizabeth Nishibori(ニシボリくん)
イッカクのきぐるみに身を包んだ女性。立ち絵は可愛い。
実はヒデコさんの妹。
Zenbei XENBAE(ゼンベイちゃん)
セーラー服を来たおじいちゃん。多重人格者。
Sunuguru Maestro(スヌグルくん)
ダウンジャケットを来た犬。メインメンバーの中では頭脳派で常識人。
マフラーにJOEと書いてあり、JOEとの唯一の思い出の品らしいのだが、ロード画面ではJOEが誰だかわかっていない。
彼のみ、繰り返し使用すると獲得できるトロフィーがある。
Handsome Hazuki(ハズキさま)
ヒゲのナイスミドル。ニッポンマラソンで毎年優勝し続けているが、それにはある理由が……。
Felix Arizona(フェリックスくん)
猫耳スキンヘッドのオカマ?
Shiro Hideko(ヒデコさん)
プレイアブルキャラクターの中で唯一アスリートっぽい格好をしている。
KG Park(パークくん)
ウサミミメガネの青年。KGはKorean Guyの略らしい。
ストーリー中ではメンタルの繊細さが描かれている。
Wedy Jones(ジョーンズさん)
ニッポンマラソンのレポーターとして現れるジェットパックを背負った女性。
ストーリー中では「ヘーイ! wedy jonesだー!」とテンション高めで呼ばれるが、プレイヤーとしてレースに参加している間は「ジョーンズさん」と呼ばれる。
レース中のミニゲームで現れた際の一人称は「俺」
Abe Watanabe(アナウンサー)
アベなのかワタナベなのかどちらかにしてほしいものだが、これが彼の名前。
レース中の実況と同じ声であることから、同一人物と思われる。
実況の時のセリフが真実なら、かつて飼っていた猿に田舎に帰られたり、草にスタンリーと名付けたり、凍傷で足の指を犠牲にしながら保険金を受け取ったりと色々心配になる。
サラ
スタジオにいるカメラマンの女性。ハズキ様の大ファンで、テンションが振り切れて仕事にならなくなるたびにアナウンサーに怒られる。
システム
Run, run, run away!
4人レースで、とにかく走ってゴールを目指す。
障害物はジャンプしたりしゃがんだりしてやり過ごし、落ちているアイテムも活用してライバルを蹴落としながらゴールを目指すレースゲーム。
言ってしまえばマリオカート。
ストーリーモード、VSモード、パーティモードがあり、パーティモードは特殊なミニゲーム2種、ストーリーモードとVSモードは本作メインのレースゲーム。
エビにならない
ロブスターは、障害物のあるステージを時間内にできるだけ遠くまで進んでいく形式のミニゲーム。
200メートル進むことでトロフィーが獲得できる。
2~8人用で記録を競う対戦ミニゲームだが、今日日珍しいコントローラを手渡しで回していくタイプのマルチプレイ。
つまり、オフラインのマルチプレイミニゲームである。
本作はオンラインマルチプレイに対応しておらず、本ミニゲームに限らず、マルチプレイがしたい場合はオフで集まる他ない。
ショッピングカートは移動手段として使っちゃダメだよなあ?
Go-GO-TROLLEYは、ショッピングカートとプレイヤーでボーリングのピンを倒すボーリングゲーム。
サイズ感が色々おかしいが、ニッポンマラソンだししょうがないよね。
これもロブスター同様、2~8人用。
ボーリングの玉の代わりにショッピングカートを突撃させつつ、プレイヤーも突撃してピンを倒すことができる。
3連続でターキーを取るとトロフィー獲得。
レース中断のミニゲーム
たまにレースを中断してミニゲームが始まることがある。
これはゲームのテンポを崩すため、設定でオフにできたりもするのだが、オフにしてもその後ゲームを起動するとオンに戻っている。
流石にバグな感じがするので、これはなんとかしてほしい。
やりこみ
トロフィーコンプ
本作、ちょっとやって馬鹿笑いして終わりにするタイプのゲームであるためか、プラチナトロフィーの獲得率が妙に低い1。
紙を食する者
本作は拾ったアイテムが基本的に食べ物であるため、食べて加速するシステムがある。
各ステージに2~3つずつウェディージョーンズの旅行ガイドが落ちているのだが、それも拾って食べることができる。
旅行ガイドは一度拾うとなくなってしまうため、ある意味ではこれは時限トロフィーと言えなくもない。
貧しい男のチキン
ロブスターモードで200m進む。微妙に難しいので、要練習。
ターキーカート
GO-GO-TROLLEYで3連続ストライク。
長いモードの場合、序盤にプレーンな台が続くのでそこで頑張って取ることになる。
カートをできるだけ中央の前に置き、曲がらないように慎重に垂直に押してその方向を見てからプレイヤーをダイブさせるとやりやすい。
トラベルマスター
ウェディージョーンズの旅行ガイドをすべて集める。
難関はネオ人口にある22ページ目。通常コースから逸れた高架上にあり、パイナップルバルーン必須。
バルーンを展開してからジャンプするのがコツ。
おそらくこれが本作最難関トロフィーであり、取得率は2020/10/01現在で2.0%。
トラベルガイドをすべて集めると、ウェディージョーンズがプレイアブルになる。
各キャラストーリークリア
これもストーリーモードの共通パートがダルく、入力がやけに硬いため面倒ではある。
お前犬好きだな
VSモードでスヌグルくんを25回使う。
トラベルガイド集めと並行すると良いだろう。
総評
意味のわからない実況を聞きながらゲラゲラ笑ってやるタイプのゲーム。
それだけに、マルチプレイができないことが悔やまれる。
物理演算系で時折理不尽なことも起きるが、トロフィーを獲得するだけならそこまで劇的に難しいわけではない。
実況音声が最高に楽しいので、サウンドテストとかで聞かせて欲しい。
なんと、続編のkickstarterが始まっている。
集まった金額次第ではオンラインマルチモードをサポートする可能性があるとのこと。
変更履歴
2020/10/02: 公式twitterから日本語のkickstarter説明ページをご案内頂いたので、URL差し替え