【ゲーム感想】勇者ネプテューヌ 世界よ宇宙よ刮目せよ!! アルティメットRPG宣言!!
前置き
筆者はネプテューヌシリーズについて、Re;birth1~3、アニメ、V2、VSセハガ、四女神オンライン履修済み。
本作については、あまり気持ちの良い内容が書けないことに留意されたい。
グラフィックス
本作の数少ない良さ。
つなこ先生の絵で描かれるキャラクターたちはいつもどおり非常に可愛い。
2Dアクションパートも、一部モーションに場末の同人臭さこそあるものの、基本的に良く動いてくれている。
背景も独特の雰囲気で、しっかりファンタジーしている。
難があるとすれば、ゲーム中で見たイベントCGを見返す手段が用意されていないこと。
四女神オンラインから全く成長していない。
サウンド
BGMはかなり良い雰囲気。ネプテューヌらしさはないものの、背景や世界観と合わせ、刺さる人には刺さる良曲が揃っている。
OPも奥行きのあるクリアな声が良く伸びる。神秘的な雰囲気で大変良い。
CVもいつもどおり、いい声揃い。
これで会話パートの作り方がドヘタでなければ良かったのだが。
システム的な話も含まれるが、レベルアップ時のボイス再生が雑。
複数人が同時にレベルアップした際、レベルアップした全員が、レベルアップした人数分、同時に喋る。
4人全員のレベルが上がると、4人の声がかぶってうるさいどころではない。
プレイヤーは聖徳太子ではない。
シナリオ/キャラクター
会話パートの作り方があまりにも雑で、シナリオの内容がほとんど頭に入ってこなかった。
作劇上削るべきセリフをこれでもかと言うほど残しており、まるで推敲しておらず日本語がボロボロだったV2よりも、その点ではひどい。
とにかく、シナリオをすべてセリフで説明しようとしており、とことんくどい。
くどすぎて、逆に内容が頭に入ってこないのも言ってしまえば新鮮である。そんな新鮮さは求めていない。
唯一褒めるべき点は、キャラクターがこれまでのシリーズから見てさほどブレていないところだろうか。
世界線がまるで違うところに来ても、四女神やあいちゃんこんぱ、いーすん辺りの本質的な性格が変わっていない。
なお、本作からの新キャラは、会話パートの残念さ起因により、その魅力がカケラも伝わってこなかった。
クロムは1のマジェコンヌ改心後の姿に似ているが、それ以上のものではないし、アルティザン1に至ってはメインシナリオ上で基本的に別行動することになるので、DLCでプレイアブルキャラになっても購買意欲が全く沸かない。
システム
横スクロールパートは悪くない
2D横スクロールパートはスイスイ動くので快適。
シンボルエンカウントなのでぶつかってしまうと戦闘システムがアレなのでストレスだが、そこだけ気をつければ良い。
プリンジャンプ台による謎解き要素も、慣れている人には物足りないかもしれないが、慣れない身としては十分に楽しめた。
シンボルがことごとくスライヌの見た目をしているのは、コストカットか、画面がうるさくならないための配慮か。
戦闘が虚無
VPと同じような画面構成らしいのだが、筆者はVPを知らないのでそことの比較はできない。
ポジションごとに各キャラにスキルを割り当てることができ、ポジションを入れ替えて場面場面に合ったスキルを選択して戦う。
ここまでは良いのだが、アクティブタイムバトルが足を引っ張っている。
開発元にATBをうまく処理する技量がないと見え、プレイヤーの入力成否が非常にわかりにくい。
例えば、アイテムを選択して使用したと思っても、タイミング次第でその入力がなかったことにされる。
キューに積まれて処理されるのを待ってるのかなと思いしばらく放置していると、ひたすら敵に殴られるのにこちらが一切行動せず、入力が何かしらの理由で握りつぶされたことに気付くのだ。
RPGに限らず、ゲームにおいてプレイヤーの入力成否がその場でわからないのは問題である。
そもそも、FF6のひっさつわざ、8の特殊技、10のオーバードライブなどのように特殊な入力を要求するようなコマンドでもないにも関わらず、単にアイテムを使用するだけで入力成否などという概念が出てくること自体がおかしい。
特に、レベリングではアイテムを多用することになるので、この入力潰しは非常に大きいストレスだった。
肝心の戦闘バランスはもはや投げ捨てられており、オートリジェネアビリティさえつけてしまえばよっぽど火力のある相手2以外に負ける要素がなくなる。
せっかくのフォーメーションシステムも、それを活かす必要なくゲームが終わる。
ぬるい戦闘かつ遅いATBのダルさを開発としても理解していたのか、L23を押すことで戦闘を高速化できる。
この高速化、あまりにも雑な超早回しになるせいで、プレイヤーも戦闘で何が起きているのかわからない。
わからないまま、とりあえず攻撃コマンドをガチャガチャしていると戦闘が終わる。
RPGにおける戦闘パートは花形で、ここが楽しめるかどうかは非常に重要であるはずなのだが、本作に関してはオートリジェネして、何もわからないままボタンをガチャガチャするだけである。
もはや本作の戦闘パートはないほうがマシとすら言い切れるだろう。
やりこみ
トロフィーコンプ
いくつか時限イベントがあるため、攻略時には攻略サイトを注視しながらそれらのイベントをしっかり回収していくと良い。
逆に言うと、それ以外で苦労するものはネプテューヌのレベルを100にするトロフィーくらい。
システムのあまりのしんどさに途中で投げ捨てるプレイヤーも多いのではないかと思いきや、2020/09/02時点でプラチナトロフィー獲得者は14.0%もいる。
ちょっとした苦行に耐える忍耐力さえあれば、トロコンは難しいわけではない。
レベリング
特定マップに鋼スライヌ4が大量に出現するため、そこに通ってレベリングすることになる。
鋼スライヌはめちゃくちゃ固く、物理攻撃しか通らないが、敵全体に固定物理ダメージを与える大きな岩数発で沈む。
したがって、大きな岩を大量に用意して鋼スライヌ部屋に通う作業になる。
戦闘開始から即岩x5を投げて戦闘を終わらせる虚無作業になる。トロフィー条件であるレベル100を達成したら、もうやりたくない。5
なお、大きな岩は店売りで10000G。ゲーム中で金策する手段は見つけられていないが、あまり大量に用意できる額ではない。
他の属性攻撃アイテムは800G。明らかに鋼スライヌ対策として有効であることを理解して値段付けがされている。
アビリティシステム
FF9方式で、装備についたアビリティを戦闘で得られるポイントを蓄積することによって覚えていく。
アビリティ装備のためのコストがあり、覚えたアビリティがすべて効力を発揮するわけではない。
オートリジェネと経験値UPさえあれば他はどうでも良く、あまり装備できるほどコスト上限も大きくならない。
レベルを100よりも高くしていけば上限は上がっていくのかもしれないが、あんな虚無をこれ以上続ける気にはならない。
なお、習得までのポイントが異常に多いアビリティがいくつかあり、それらを覚えようとするとパーティメンバーの入れ替えをする機会がない。
結局、四女神固定パーティにしてしまうので、せっかく仲間になったクロムはベンチウォーマー。DLCでプレイアブルになるあいちゃんこんぱ、アルティザンも別に買わなくていいか、となってしまう。
総評
システムとシナリオが壊滅的、サウンドとグラフィックに支えられるもシステムでまたそれらの魅力を引き出せず、総合的に残念な作品と言わざるを得ない。
なお、アップデート配信前はこれに加えて戦闘中にフリーズしたり、進行不能になる不具合があった。
ネプゲー、コンパゲーに期待してはいけない。そうは言うが、リメイク後ナンバリングシリーズやいくらかスピンオフをプレイした身として言うと、本作はネプゲーの中でもダントツに出来が悪い。