【ゲーム感想】遊戯王デュエルモンスターズ レガシー・オブ・ザ・デュエリスト:リンク・エボリューション
目次
前置き
筆者はリアルカードを触らないゲーム勢で、遊戯王に触れるのはTFSP以来。
環境に関する知識もその辺りで止まっている。デュエルリンクスも触っていない。
また、筆者は遊戯王を対戦ツールであるというよりは一人用パズルゲームとして楽しんでいる。
グラフィックス
ゲームシステム面でのグラフィックスは全く問題がない。
各キャラクターの立ち絵も、主要なキャラクターについては多少なりとも表情差分が用意されている。
各カードの絵柄も、拡大表示機能こそなくなったものの、高解像度で見られてファンには嬉しい。
が、しかし。
スタート画面の荒いポリゴン感でめちゃくちゃ不安になったのだが、その不安は各シリーズのメインモンスターに用意された召喚時のムービーで的中した。
ブラック・マジシャンや青眼の白龍、収録作品で最も新しいVRAINSではデコード・トーカーなどに、召喚時専用のムービーが用意されているが、それらの品質がかなりのっぺりしていてダサい。
決して、TF時代のシューティング・クェーサー・ドラゴン、スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンのような激アツムービーを期待してはいけない。
ヴァレルロード・ドラゴンなど、見せ方のおかげでかっこいいヤツもいるにはいるのだが、PSP時代と比べて演出面で負けてしまうというのはなかなかに辛いものがある。
そして何より、召喚時のムービーはまさかのスキップ不可。OFFにする設定項目すら存在しない。
結果として、各シリーズで主人公やライバルが使っていたエースモンスターであるにも関わらず、ムービーが長くてデュエルのテンポを妨げるからという理由で採用を見送ることすら検討しなくてはならない悲しい存在が生まれてしまった。
特にリバイス・ドラゴンはランク3の主要な火力要因であるため、召喚のたびにムービーを流されるのはかなりストレスがたまる。
カード処理のスピードもTF時代と比べると明らかに遅くなっており、1デュエルの時間が長くなりがち。
オプションメニューの設定の下にあるクレジットでは、謎に波打つ感じでスタッフロールが流れていくのだが、力を入れるべき場所はそこではなかったはずである。
サウンド
主張しすぎない良いBGMが多かった。
デュエル中のBGMはなかなかにノリの良い曲で、個人的には好き。
SE周りも特別に違和感のあるものではなく、遊戯王感はあった。
カードを動かすときのSEも気持ちがいい。
本作に、キャラクターボイスは一切収録されていない。
TFシリーズは各キャラクターの声がいつでも聞けたのだが、流石に全シリーズのキャストを集めるだけのコストはかけられなかったのだろう。
その辺りの演出面に凝っていれば、本作はフルプライスになっていたに違いない。
シナリオ/キャラクター
ストーリーモードはアニメの各シリーズのシナリオを追うもの。
ただし満足タウン編など、一部のシナリオはカットされている。
キャラクターのセリフはともかく、地の文がかなり淡々としており、テキストは正直なところ読めたものではなかった。
好きなシリーズならアニメの展開を思い浮かべて脳内補完できるのだが、そうでないものについては最悪である。
未読であろうと何であろうとワンボタンでスキップできるところは良心的なシステムであったと言わざるを得ない。
ストーリーモードのシナリオパートは、無くて良かったレベルで虚無。
昔のアニメが懐かしければdアニメストアなどで配信されている作品を視聴したほうがずっと良い。
忙しい人向けの要約であっても、もう少しテキストは練られていてほしい。
なお、VRAINSについては雑なテキストを読まされるシナリオパートが一切存在しない。
Switch版の発売当初には存在せず、他プラットフォーム版の発売時にストーリーモードが追加されたためだと思われる。
スキップのためにボタンを押させられたり、虚無感溢れるテキストを読まされたりしない分、VRAINSについてこの方式で追加したのはユーザーにとても優しい。
システム
新マスタールール対応
2020年4月に改訂された新しいマスタールールに対応している。
このため、融合・シンクロ・エクシーズモンスターをEXデッキから直接メインモンスターゾーンに出すことができる。
それらを使ってダイナミックな展開がやりやすくなっている。
充実したチュートリアル
ルールについて一から学びたい初心者用に、チュートリアルは充実している。
各ストーリーモードの最初に、そのストーリーで重要となる召喚方法に関するチュートリアルをやってくれるので、新しい召喚方法に馴染みがなくても安心。
カード集めがしんどい
これはTFの時代からも言われ続けていたことではある。
が、本作はTF時代よりも更にしんどい。
しんどさについてはこれ以降の項目で述べていくが、流石にゲームの主体となるであろうデュエルを差し置いてカード集めにひたすら時間をかけなければならないデザインはいかがなものだろうか。
デュエルでDPを稼ごう、なお
デュエルで勝つ必要はない。
最も効率の良いDPの稼ぎ方は、デュエル開始後即サレンダーすることである。
冗談だと思うかもしれないが、デュエル敗北時にもらえるDPが800~900程度?1である。即サレンダーすればローディング含め1分かからない。2
勝利時のDPも、これもまたばらつきがあるものの、1000~1500程度。
デュエル内容に応じて何かしらのポイント計算がされているようではあるが、デュエルスコアの表示はざっくりしすぎていて何をどうすれば多くのDPを稼げるのか全く明らかでない。
一つだけ明らかなのは、時間をかけてデュエルに勝利するよりも遥かに効率の良い稼ぎ方が、即サレンダーであるということだけだ。
デュエルに勝利すると相手のデッキに入っているカードが3枚入手できるものの、サレンダーした場合でも1枚は入手できる。
ゲームとしてなにか致命的に崩壊していないだろうか。
1パック400DP
1パックは400DPで、先程も述べた通り、敗北しても2パック程度買える。
そして、勝利しても買えるパック数がせいぜい1~2増えるか否かという程度。
これでは即サレンダーを推奨していると言わざるを得ないだろう。
パックの開封も問題である。
パック開封の演出はヒトがガチャに惹かれる性質を利用しており、なかなかにワクワクする代物ではある。
ただし、1パックから排出されるカードは8枚。そのうち1枚がレア枠で、レア枠が開示されるまでの演出に1秒程度の溜めがある。
これを高速化する術は存在しない。
TFシリーズ終盤で見られた地蔵システムのような、ダブり救済システムは存在せず、パックごとに未入手カードが少なくなると、ひたすらダブってつらい虚無のパック開封を延々と眺める時間がやってくる。
一応、3枚入手していないカードが確率的に優先されているような気配はなんとなく感じるものの、ダブるときは容赦なくダブる。
唯一親切だと感じるのは、入手済みのカードの種類数と収録されている種類数、それからそれらを3倍した数字が購入パック選択画面で見られることだ。
カードコンプという苦行の中で、それだけが唯一の光明である。
CPUが長考したまま戻ってこない
場のカードが増えたり、特定の状況でCPUにターンを渡すと長考したままフリーズし、返ってこないことがある。
背景のエフェクトまでもが全く動かないので、VRAINS編などではとても良くわかる。
筆者はリボルバーと戦っているときに一度フリーズし、ゲームの再起動を余儀なくされた。
それ以外でも幾度か長考したまましばらく返ってこないことがある。
即サレンダーしてしまえば長考されることもないので、そういった意味でも効率よくDPを稼ぐ方法は即サレンダーである。無情。
カードごとの入手方法が不明
TFシリーズでは、カードごとに詳細確認画面で収録されているパックが確認できた。
本作にはそれがない。
有志が電ファミwikiにまとめてくれているので、それを見ながら目的のカードが入っているパックや、目的のカードを持っているデュエリストを探すことになる。
遊戯王 LotD攻略まとめwiki【レガシーオブザデュエリスト:リンクエボリューション】
ロードがやや長い
デュエル開始時のロードがやや長く、これもまたゲームのテンポを悪くしている。
筆者は途中から、友人とモンハンをするためにSSDを購入し、ついでにこのゲームのデータも移したために気にならないレベルまで高速化できたが、そうでなければかなりストレスが溜まっていただろう。
収録カードは10000枚以上
収録カードの網羅性はかなり広い。
無論、OCGで最新を追っているプレイヤーからすれば最新カードがなくて物足りない部分はあろう。
Switch版発売当初は収録カードが海外基準であったため、日本ですでに出ているにも関わらず未収録だったカードが多くそれなりに炎上していたようである。
が、他プラットフォーム版の発売時にVRAINSのカードが追加されたようで、第10期のカードが多数収録されている。3
数多くのカードから組み合わせをあれこれ考えて、という楽しみ方はTF時代から変わらず。
こういった点で、他に様々な粗はあれど、筆者としては良いゲームであると思う。
ただし、TFに収録されていたアニメオリジナルカード類は、本作には一切収録されていない。
ダークシンクロ楽しかったしダークチューナーの悪用も楽しかったんだけどなー!
禁止制限リストはゲームオリジナル?
実際のOCGとは異なる禁止・制限リストが適用されているようである。
元々の収録カードが海外基準だったため、海外基準の制限リストなのだろうか?
ただし、一人プレイモードでは禁止制限リストを最初からガン無視することができる。
強欲な壺も天使の施しも使い放題である。
つまり何が起こるかというと、ストーリーモードやチャレンジモードの攻略に図書館エクゾなどの高速ワンキルが用いられる。
無論、それらを揃えるまでがしんどいのだが、攻略情報を調べるとそのデッキを真っ先に揃えることが推奨されている始末。
なお、エクゾディアは揃えたタイミングで専用のムービー演出4が挟まるため、カードが揃ったら別の高速ワンキルに切り替えてしまうほうがストレスがないかもしれない。
筆者はVRAINSヒロインの【トリックスター】ワンキルや、高速でデッキを削り切る【魔妖骨の塔】、そしてCPUがなかなか対処できるカードを積んでこない【時械神】で暴れた。
無論、それらばかりだと飽きてしまうので、ある程度カードが揃ってからはゲーム内の禁止制限を守りつつ面白いデッキが組めないか模索しつつ攻略した。
プレイヤーデッキ数は32枠まで
TF時代は200ほど登録できていたデッキセットだが、本作ではなんと32個しか登録できない。
収録カード数が飛躍的に増えているにも関わらず、これでは面白デッキをたくさん試してもどれかを消さなければならなくなる。
流石にもうちょっと増やしてくれても良かったのでは。
デッキごとに好きなキャラクターのアイコンを設定できるシステムは、TF時代にはなかった良いものだと思う。
ドラフトプレイ
DPを使って特定パックを購入し、そこで出たカードで即席デッキを組んでデュエルするモードがある。
ここで出たカードはマッチプレイ終了後、プレイヤーのものとして入手できる。そう、即サレンダーしても。
面白いと言えば面白いのだが、DPの入手手段がアレであることから、デッキのパーツを集めるために即サレンダーするばかりであった。
オンライン対戦モード
ランクマッチとプレイヤーマッチ5が存在する。
ランダムにマッチングしたり、マッチ部屋を作成して他プレイヤーを待ったりできる。
フレンドのみのマッチングも可能で、内輪で遊ぶにも悪くはないだろう。6
オンラインの対人デュエルである以上、デュエルのテンポはCPU戦と比べてやや遅くなりがちだが、それは仕方がない。
なお、複数のプラットフォームで発売されている本作だが、クロスプレイには対応していないようである。
友人と遊びたい場合には注意。
やりこみ
トロフィーコンプ
時間はかかるが難易度自体は高くない。
ただし、オンラインマッチでの勝利が条件となるトロフィーがあり、オンライン人口次第ではいずれ取得不可になるであろうものも。
一人用ゲームとして遊んでいるプレイヤーは多くないのか、トロフィーコンプ率は2020/05/25時点で2.3%とかなり低め。
YU-JYOデュエル
ランクなしのプレイヤーマッチで勝利すると獲得できる。
最悪、フレンドがいれば談合でも獲得できるだろう。
プロデュエリスト
ランクマッチで勝利すると獲得できる。
ランクマには猛者ばかりうろついているであろうと思って、筆者も覚悟してガチガチのガチデッキ7を持ち出したのだが、結果として相手にサレンダーさせてしまった。
もっとフランクに、好きなデッキで潜っても良いのかもしれない。
マスター・デュエリスト
すべてのチャレンジモードを攻略する。
各ストーリーモードの攻略や、キャラアイコンのアンロックはこれを達成する過程で自然と達成できているはず。
ストーリーモードでのリバースデュエルもしっかり攻略していく必要があり、虱潰しにコンプリートしていく癖のあるプレイヤーでないと放置してしまいがちなのだろう。
2020/05/25時点で達成率が4.3%とダントツに低かった。
猛突するモンスター/火あぶりの刑/立ちはだかる強敵/連鎖爆撃
累計ダメージ数やチェーン回数に関するトロフィー。
累計のため、1デュエル中に無理にたくさんダメージを与えたりチェーン数を稼いだりしなくても自然と獲得できる。
立ちはだかる強敵のみ、2020/05/25時点で14.4%とやや取得率低め。
これはおそらく反射ダメージであれば守備表示でなくても良い?
超重武者で守備表示で攻撃した時にも達成できるかどうかは不明。
魔神火炎砲エクゾード・フレイム
エクゾディアを揃えて勝利すると獲得できるトロフィー。
特殊勝利系トロフィーはこれだけで、ウィジャ盤などの他の特殊勝利を条件とするトロフィーは存在しない。
攻略の段階で図書館エクゾを使うことになると思うので、自然と獲得できるだろう。
カードコンプ
苦行。
パックの開封はシステムの項目で述べた通り。
デュエリストからの入手カードはそのデュエリストが使っているカードに限られるため、誰も使っていないカードはパックから入手する他ない。
ひたすら即サレンダーするのが最も早いだろうが、あまり心に優しくなさそうだ。
筆者もカードパックからまだ入手していないカードが多数ある。
総評
Switch版発売当時の炎上や、手を出した友人からの評価でさほど期待はしていなかったが、たしかに評判通り(おそらく開発のリソース不足で)良くない部分の目立つ作品ではあった。
しかしながら、
1つ、パッケージ版がなくDL版限定であり、ロープライスなので、気軽に始めやすい点
2つ、久しぶりにセルフバウンスなどのお気に入りデッキを、新しいカードを含めて回せた点
3つ、魔妖や無限起動などの心躍るデッキに出会えた点
これらを考慮すると、他人にオススメできないにしても、十分に楽しめる作品でもあったと言える。