【ゲーム感想】CRYSTAR -クライスタ-
目次
前置き
この記事にはCRYSTAR本編及び公式アートブックのネタバレを含む。
本作はシナリオをメインとしたゲームのため、ネタバレなしで一度ストーリーを見てから記事の続きを閲覧することを推奨する。
Steam版も配信されているようだが、筆者がプレイしたのはPS4版。Steam版には特に言及しない。
グラフィックス
キャラクターデザインはリウイチさん。
立ち絵の第一印象は、肌が白すぎて血色が悪いだったのだが、慣れてくるときれいな目が印象的で繊細な絵柄に見える。
目の中に星を散りばめたような独特の描き方で、涙をメインテーマとした本作に非常によくマッチしている。
3Dモデルも立ち絵の雰囲気をしっかりと再現していて、特徴的な目の描写は引き込まれるようですらある。
断末魔浄化の際にクローズアップされる目元に力を入れてあるのももちろん、無理な動きをさせていないからか、体が衣服を貫通したりなどと言った粗も全く見受けられなかった。
目の描写は、おそらく辺獄の背景に対応している。
辺獄の背景には階層によって様々な色の空が広がっており、無数の輝く剣が浮かんで、果ての光の珠1に収束していく。
その光の珠を瞳孔とし、目の中の輝きは無数の剣の形をしているようなので、辺獄の背景は彼女たちの目に対応しているものと思われる。
特に序章で訪れる上層の空は深い青で美しい。終盤の黄金に燃えるような空もまた捨てがたく、それ故に空をクローズアップするような演出のイベントがほとんどなかったのが惜しい。
敵キャラのデザインやグラフィックも種類は少ないながらも凝っていた。
短期間で可能な限りの要素を詰め込み、丁寧に仕上げたものだと思われるが、やはりプレイヤーとしては3Dモデルの動きの少なさが気になってしまった。
限られたモーションでなんとかイベントの内容を表現しようと頑張っているが、どうしても動きが少ないのでチープに見えてしまいがち。
シナリオは良いので、もう少し演出にリソースをつぎ込むことができていたら……とは思う。
イベント用の一枚絵は独特の雰囲気の書きなぐったようなものがいくらかある。
シャフトが担当したOPと合わせて見ると、かなりイヌカレー的な雰囲気が楽しめる。
OPはシャフト。零ちゃんの変身シーンがあるが、誰が骨まで見せろと言った。
ゲームの雰囲気にマッチした映像で、これもまた好き。
サウンド
BGMは削除さん。
音ゲー界隈では有名な人であるようで、独特の神秘的だったりおしゃれだったりなサウンドが本作のしっとりとした世界観に引き込んでくれる。
ピアノや弦楽器が主体となることが多く、単調になりがちなアクションパートを支えてくれる良曲揃い。
辺獄のテーマとも言うべきLimbusは何度も聞いたが飽きることがなく、虚無感の強い久遠バスケマラソンにおいて非常にありがたい存在だった。
拠点となる部屋で幾度となく聞くことになるRoomも、ヴァイオリンのスタッカートが心地よくおしゃれ。
Prisonが特に好き。監獄に囚われた魂の嘆きを表現したであろう不気味な声の演出から始まり、ストーリーの演出とも相まって、プレイヤーの焦りを刺激するようなリズムで刻まれるドラムの低音とメロディに絡みつくような電子音。身を捩るようなストリングスの嘆きがまた良い。
Flameもめちゃくちゃかっこいい。本作において異質なギターをギンギン鳴かせる熱い曲になっている。
出口のない檻に閉じ込められたような救いのない展開で、それでもあがくしか無い千の慟哭とも言うべき曲。
SE周りは無難。攻撃のヒット音は重さがもう少しあっても良いとは思うが、決して軽すぎない。
足音は単調だが、777以外のものは特に気にならない。777の足音だけ、全体重が乗っているのかすごいドスドスと鳴ってうるさい。
シナリオ/キャラクター
本作のシナリオは、幾度もBAD ENDを繰り返して最後にその記憶をもとに真のエンディングに到達するループモノ。2
1周目では何もわからなかったことが2周、3周と繰り返すたびに明かされていくので、展開は予想できるほど王道的でありながらもストーリーには飽きずに進められる。
本作のメインシナリオライターは久弥直樹。3
死者回想録
メインシナリオ以外でもテキスト面では注目すべきシステムがある。
この世に未練を残して死んだ者は死後、辺獄において幽鬼と化すことがある。
幽鬼を始め、強い感情を持った対象4を倒すと彼らの断末魔が流れ込んでくる。それを書き記したのがこの死者回想録だ。
この記憶、死者の記憶だけあってかなり救いのない内容が多い。
両親から育児放棄されて死んだ子供だとか、かくれんぼで捨てられた冷蔵庫に隠れたまま出られずに死んだ少年だとか、過労で死んだシステムエンジニアもいた。
死者の記憶は自らの死因に言及するものが多く、そういった意味で人の昏い喜びを満たしてくれるダークなテキストが満載である。
中にはストレイト・クーガーがいたりとか、閉じた踏切の中で自撮りしようとして死んだ間抜けなヤツがいたり、世界観の設定を明かすためのテキストが混じっていたり、ケンケンをする何かに殺されるというガチホラー的なものもいた。
ケンケンをする何か、元ネタとかあるんだろうか。都市伝説的な何かのようではあるが……。
ともあれこのテキスト群は悲惨な内容に耐性さえあれば読んでいて面白く、幽鬼を倒すごとに確認しに来るのがゲーム中の楽しみになっていた。
幡田零
本作主人公。名前の由来はヘラクレイトスが提唱した哲学の概念 panta rhei(パンタレイ)。
主人公でありながらゲーム中で諸々の情報が明かされず、割と謎に包まれた少女。
どうやら高1で引きこもり5をしているらしいが、映画を見たり本を読んだりは好きなようだし、言葉遣いは丁寧なので教養がないわけではなさそうである。
部屋の内装を気に入っているらしく、見たところかなりきれいに整えられているので、引きこもりだからと言って怠惰なわけでもなさそうだ。
普段の服装もおしゃれ……だが、DLCを見るとなんとアレは制服らしい。学校がおしゃれだった。
他人に対しては基本的に敬語で話すものの、妹に対してはお姉ちゃんしようとしている。
心を開いた相手にはちょっと踏み込んでみたりするところもかわいい。
5章でかなり余裕がなくなったり、割とメンタル面に攻撃を受けてへこたれるシーンも多いのだが、それでもと立ち上がる姿は筆者の好みに直撃した。
偏食家でポテトが大好きな設定。序章で妹から「ポテトイーター零ちゃん」と呼ばれてからは、プレイヤーからもポテト呼ばわりされることが多いようである。ちょっと親近感がある。
エンディング後はセレマと一緒に過ごすのだろうが、小衣や千が気にかけてくれそうでもある。
CV近藤玲奈。けもフレのコツメカワウソ、ゆゆゆいの伊予島杏の人。
幡田みらい
零の妹。本作メインヒロイン……かと思いきや、中盤は全く出番がない。
いわゆるピーチ姫ポジションかと思わせて、実はクッパ枠。
姉への愛が重すぎたり、幼すぎたりして歪んでしまった系ヤンデレヒロイン。
1周目のラストは完全にヤンデレみらいエンド。あれはあれで好き。
2周目で種明かしするシーン、セレマに関する言及が衝撃的だった。
お前、お前……あのアルバムはどういうことなんだよ……!6
ラストで割とあっけなくヨミガエリを諦めるのだが、そこの心理の変遷が作中で明示されておらず、プレイヤーとしては非常にもやもやする。
もうちょっと優しい結末があっても良かったんじゃないかなあと空想するが、それはそれで重いもの大量に背負ったまま生きないといけなくてつらそうな気もしている。
他にも、彼女の過去にいったい何があったのかが詳しく語られず、不明なことが多すぎる。
3回目の8章では零と血がつながっていないらしいことが明かされるが、なぜ他の家に引き取られることになったのかは不明。
何かよほど重大な事情があったものと思われる。父らしき人物のセリフから、やはり本当の娘ではないことに関連して両親やみらい自身に心理的負荷が生じたのだろうか。
なお、死者回想録のヘーゲルには興味深い内容が記されている。
彼女には最愛のひとり娘がいた。娘の父は妻帯者だった。家族を愛する厳格な男性だった。一夜の過ち。彼女は相手には娘のことを隠した。
死者回想録 ヘーゲル 第一の記憶
男性は、彼女がある事件に巻き込まれたとき、良くしてくれた検事だった。彼女が一方的に恋をし、半ば、なし崩し的に関係をもった。
死者回想録 ヘーゲル 第二の記憶
娘はひとりで育てた。支えてくれる親族はいなかった。だから死後、娘のことが心配だった。可能性や希望の意味をこめた名前のあの子を。
死者回想録 ヘーゲル 第三の記憶
第三の記憶の最後の一文をみらいと捉えることができ、第一と第二の記憶に登場する厳格な男性を恵羽誠士郎7とする説がある。
もしそれが真実であるとするなら、みらいと千が異母姉妹であるということになる。
CV千本木彩花。まちカドまぞくの杏里ちゃんの人。
不動寺小衣
小衣姉さん。エセ関西弁のお姉さん。
関西から関東の大学に出てきているということだが、そのせいで関西訛りが半端に抜けてしまったのだろうか。
彼女の設定はやったら重い。
大学生なのに彼氏との子供ができちゃって休学してたけど、彼氏と一緒に辺獄に引きずり込まれて子供と彼氏の魂を喰われてしまった過去がある。
しかも蓋を開けてみれば彼氏が絵に描いたようなドクズで、彼女が加入して過去が明かされる2章はこのゲームがひたすら重いゲームだぞ、という現実をしっかり突きつけてくる。
最初は彼氏君の言動が断片的に描写されており、実はいいヤツかな?という期待がなくもなかったのだが、やっぱりだめ男じゃないですかやだー!という結果に。
可愛い女の子大好きムーヴで零ちゃんや千ちゃんに絡むも、零ちゃんには軽くしらわれ、千ちゃんには真顔で返される。
メインメンバー中最年長の21歳。なんだかんだで周りよりも落ち着いた大人としてメンバーを見てくれるシーンもあり、良かった。
CV井口裕香。禁書のインデックス、艦これの長良型、加賀、アトリエアーランドシリーズのミミちゃん、不思議シリーズのプラフタの人。
恵羽千
めぐみば せん と読む。クソ真面目ちゃん。
自らを普通の女子高生と称しているが、普通の女子高生は正義とかにこだわらないと思うんだ。
父が検事で、その背中を見て育ったから正義に強いこだわりがあるらしい。
名前の由来はエウゼーン(善く生きる)。ソクラテスの考え方から取ったものだろう。8
クソ真面目で、小衣のボケを真顔で殺す。
二郎系ラーメンが好きらしく、それを語って零に引かれている。
正義を重んじるからにはルールに対して私情を挟むべきでないという厳格な父の教えと、母が幽鬼となり辺獄で悪事を働いている(かつ、小衣の復讐の相手になってしまっている)事実の間で板挟みになり、苦悩しながらも決断を迫られるところは見ていて面白い。
いわゆる正義の味方になりきれるか否かという展開で、やはり一女子高生にそれを貫き通すのは難しかった、という結末ではあった。
個人的にはボロボロになりながらも正義を貫いたルートとか、正義を違えてしまいながらも零を倒してしまったルートも見てみたい。
エンディング後は父の元に身を寄せるのだろうか。あるいは、彼女くらいしっかりしていれば一人でも色々やっていけるのかもしれない。
零ちゃんと一緒にラーメン食べに行っててほしい。
CV井上ほの花。刀使ノ巫女の岩倉さんの人。
なお、千の母であるアナムネシス(=恵羽想真)のCVは、彼女の母の井上喜久子。
777
ナナナ。幽鬼として零たちの前に立ちはだかる敵だったが、なんやかんやあって仲間になる。
ある理由で零が大好きな、底抜けに明るい子。ちょっとおバカ。
妹を刺した罪悪感に駆られている零、復讐鬼となった小衣、正義一点張りの千と、これだけではめちゃくちゃ暗いパーティになるところ、彼女のおかげで空気が明るくなるところがあり、中盤の癒やし的な存在である。
ただ、そういった明るい子にも容赦ない結末が待っているのがこのゲーム。1周目は感動的なシーンになったものの、2~3周目は、ただただ悲惨。
彼女が壊れる予兆がアドベンチャーパートで少しずつ語られていく描写も、プレイヤーの精神を削る。
CV諸星すみれ。プリヤのエリカの人。
幡田久遠
生まれる前に亡くなってしまった零の双子の妹。
魂が零に融合していたが、辺獄に引きずり込まれたときに分離した。
零は一人で二人分の魂を持っていたことになり、そのおかげでヘラクレイトスと会話できていたとのこと。
CVは零と同じ近藤玲奈。
生まれておらず発声の方法をうまく知らないからか、舌足らずかつ抑揚のない感じの演技になっている。
最初は耳につく演技だったが、慣れてくるとこれはこれでかわいい。
水無乃有理
中学のときに零の友人だった子。ゲーム開始から1年前、千と同じバス事故に巻き込まれて死亡。
辺獄で再開した時にはすでに……。
合理性を愛する少女だったが、同時に感情を揺さぶられやすいらしいことがパルメニデスの死者回想録に書いてある。
彼女が零に抱いていた感情については、プレイヤーが知るよしはなく、想像するよりない。
零の親友だったこともあり、1年前のバス事故で何があったかについて明かすためのキーキャラクターであったが、3周目はもはや喋る機会すら与えられず異形化させられてしまい、単なるボスでしかなかった。なんとあわれ……。
4周目ではいったいどうなったのか全く語られていない。辺獄にとどまっていたのか、あるいは再生の歯車まで向かったのか。
バス事故の直後に零にかけた電話の内容から、彼女の心理的な問題は全く解決していないことが予想されるため、まだとどまっているのではないかと思われる。続編書けるね!!
CV田中あいみ。うまるちゃんの人。
ヘラクレイトス
零の守護者。9
零曰く口下手。守護者は主の理念が具現化した存在であり、魂として同一の存在なので、零も口下手ということになる。
久遠のおかげで零と会話できるが、めっちゃいい声。
名前は暗い哲学者、泣く哲学者の異名を持つギリシャの哲学者ヘラクレイトスから取ったものだろう。
CV中田譲治。Fateシリーズの言峰綺礼、ToAのヴァン先生、アトリエ黄昏シリーズのキースグリフの人。
セレマ
零と同じ誕生日のサモエド犬。かわいい。もふもふ。
トロフィーのアイコンもセレマ。プラチナトロフィーだけ笑顔で良い。
メフィス
丸メガネののじゃロリクソ悪魔。
CV井澤詩織。アスタリスクの紗夜、ガルパンのそど子、FGOの不夜城のアサシンの人。
普段落ち着いた演技から、種明かしのバカ笑いのギャップは好き。
フェレス
ねっとりクソ悪魔。
メフィスはまだ普段落ち着いていたから良いものの、こいつは普段からねっとりした喋り方で殴りたいゲージが常にMAXだった。
なお、セレマに言及した時点でふたりとも絶対にぶん殴ると誓ったのだが。
公式サイトの絵やアートワークではチェーンソーを持った姿で描かれているが、特にそれが使われたり作中で登場したりということはない。
CV立花理香。
システム
小粒でゲームスピードはかなり遅い
アクションパートとアドベンチャーパートに分かれるアクションRPGだが、アクションパートはかなりゆっくりかつ小規模。
移動速度、攻撃速度も遅く、敵の数も少なく、戦うフィールドも狭い。かなりコンパクトになっている。
ただ1.01ではダッシュキャンセルを利用して無限にダウンを取るコンボが使えるため、それさえ覚えてしまえば一部ボスを除いてだいたいの敵はなんとかなる。
キャンセルの入力もそんなに厳しいものではなく、アクションゲームが苦手な人向けに調整されている。
バグも処理落ちもなく、ロード時間もさほど長くないためゲームの本質外のストレスが与えられることは少ないが、マップの広さに対して移動速度が遅く、1階層突破するために時間がかかりすぎてしまうのは難点。
また、アクションゲームにある程度慣れたプレイヤーからすると単調で退屈な戦闘に感じるだろう。せめてもう少しスピード感があったり、攻撃範囲が広くなって大量の敵を薙ぎ払うなどの爽快感があればまた違ったのだろうが……。
アドベンチャーパートもシステム的に足りない
立ち絵を表示して進行する会話パートも、正直なところ必要なシステムが揃っているとは言い難い。
申し訳程度に早送りだけあるものの、ログ閲覧はできず、間違ってセリフを飛ばしてしまうと取り返しがつかない。
選択肢による小さな分岐も両方見たければセーブデータを分けてね、という前時代的な仕様である。
シナリオ中では時間軸をさかのぼって繰り返すのだが、システム的に強くてニューゲームというものが存在しない。
シナリオを振り返りたいと思ったときは零の日記を見るか別のセーブデータを用意する他なく、アクションパートの遅さを考えるともう一度プレイしようという気持ちにはなかなかならない。
情報を断片的に明かしてプレイヤーの想像力に問いかける良い作りをしているだけに、シナリオを振り返るための労力が大きすぎるのはかなりもったいないマイナス点であるように思う。
泣いて強くなるRPG
幽鬼を撃破するとその死者の断末魔が零の中に溜まっていく。
これは泣くことで浄化でき、浄化すると装備品になる。
斬新なシステムで面白い。零ちゃんが泣くモーションは4種類ほど用意されており、筆者としても楽しめた。10
装備品は同じものを素材とともに合成することで強化でき、強化するごとに装備のフレーバーテキストが変化していく。
弱い装備でもフレーバーテキストのためにとっておく、といったプレイができ、これもまた面白い試みであった。
素材が手に入りにくく、ストーリー中での強化を諦めるケースが多かったのは残念だったが。
ステータスの意味が不明
キャラクターのステータスにおいて、物理攻撃物理防御、魔法攻撃魔法防御までは容易に理解できる。
だが、残り2つの意味がゲーム内で全く説明されていない。精神安定と運、いったいどういうステータスなのか。
字面からの予想でしかないが、精神安定は涙ゲージに関連した何かではなかろうか。
涙ゲージの上がりやすさか、あるいは泣き言を言ったときのSPの減りやすさか?
運はクリティカル率や状態異常成功率くらいしか思い当たるものがない。
思装変容で特化型にして使ってみると何かわかるかもしれない。
世紀末バスケ
まさかこんなところでAC北斗の拳よろしく、敵がビタンビタンと跳ね続ける永久コンボを見ることになるとは思わなかった。
零や小衣は、ダウンした直後に攻撃を当てることで相手をビタンビタンと跳ねさせることができる。
ダッシュによるキャンセルから弱攻撃を当てることでも跳ねさせることができ、これによってダウン耐性を持たない相手はタイマンなら一方的に殴り続けることができる。
最終装備をドロップするボスの中で唯一、幡田久遠だけがダウン耐性を持たないので、零ちゃんが双子の妹をバスケし続ける鬼畜姉になってしまった。
最終装備は強化のために16個集める必要があり、それはもう何度も何度もバスケした。みらいちゃんなら喜んでくれたかもしれないのに。11
多い死にスキルと不遇な千ちゃん
零ちゃんのスキルは基本的に優秀なのだが、他のキャラクターはスキルの性能が正直なところ微妙。
小衣は混乱効果のついた裁断の刃、連打でひたすらゴリ押しができる乱撃の型が優秀。あとは防守の杭で囲まれたときに対応できなくもない程度で、ほかは正直なところ使わない。
千ちゃんは三段斬り系と十字斬衝系で小粒に立ち回るくらいか。ほかはスキが大きく、なおかつそんなにダメージが出せずに悲しい。
777はビームだけ撃っていれば良い。たまにタマゴを投げて遊んでもいいが。
小衣は通常攻撃によるバスケが強力かつ、単発火力が大きいので強いし、777は飛び道具でひたすら安全に戦える点で強いのだが、千ちゃんだけはバスケ難易度が零小衣よりも高く、ちょっと性能的に悲しい。
繰り返しがわかりにくい
シナリオ的に時間軸を遡るのだが、最初は序章と全く同じものを見せられて、本当にゲームの続きをしているのかわからなくなってしまった。
幡田久遠の名前が明かされているところから類推する他なく、最初に分岐するまでそれなりに時間がかかる。
人によってはここで投げてしまうのではなかろうか。
やりこみ
トロフィーコンプ
基本的にストーリーを進めていけば獲得できるトロフィーが多く、トロコン率も2020/02/04の執筆時点で8.8%と高め。
時期限定トロフィーも運要素が著しく絡むトロフィーもなく、トロコン難易度はかなりやさしめ。
死者回想録大成
幽鬼はゲーム中において赤く光る特殊なエネミーとして出現し、それを倒すことで対象の幽鬼の記憶を1つ獲得することができる。
回想録の対象はゲーム中でボス含め99種類。それぞれについて、3つずつ記憶があるため、全ての対象を3回ずつ撃破する必要がある。
ランダム出現のレアな幽鬼がいるため、出現場所を覚えて対象ステージを周回する必要がある。(途中帰還やリセットでもOK)
よく言われているように、マルクスが最も最後に残りやすい。
終点で左へ行き、3箇所チャンスがあるのでそれを見ていなければタイトルへ戻ってオートセーブ時点からやり直すと楽。
多少は運が絡むものの、モンハンの金冠などとは比べるべくもなくあっさり出てくる。
ボスも対象に含まれるため、断末魔所持上限の10個に気を使いながらストーリーを進めないと、溢れてしまって余計にステージを周回することになる。
メフィス&フェレスの回想録を埋めるために、エンディングを合計3回見る必要があるのはややくたびれた。
逆に言うと、ラストバトル~エンディングまでのイベントだけは何度も手軽に見直せるということだが。
成長限界点
レベルを99にする。
クリア後の追加ステージにおけるボスラッシュに難易度を下げて挑めばあっさり達成できる。
筆者は思装変容依存とこれを最後に残した。
思装変容依存
素材を消費して武器のスロットに追加能力をつけたり、すでについている能力を上書きしたりできる。
これを50回行うとトロフィー獲得。
せっかくなので筆者は最終装備を作って行ったが、特にこだわらないなら何でもOK。
ただし、最終段階まで強化しておかないと素材の消費量が多いので、スロットのついたEnd系装備を一つは持っておくこと。
愛犬家
セレマを53回撫でる。部屋でセレマを撫でるコマンドがあり、それを選んでしばらくすると心が温まる。
それを53回繰り返せばOK。最序盤から達成できるが、6章以降、セレマのいない期間は不可。それ以降は4周目になるまで達成できなくなる。
最強装備作成
4周目以降、ボスが各キャラクターの専用最強装備をドロップする任意シレンが追加される。
武器防具どちらを落とすかランダムで、1回につき1つしか落とさない。
最終強化するにはどちらも16個ずつ必要なので、ひたすらマラソンして繰り返すことになる。
せっかくなので、スロットがついたものを引き当てられるように、10個集めてセーブしてから浄化し、スロットがなければロード、を繰り返すと良いだろう。
スロ2装備はさほど無茶な確率ではないようで、4つ以上一気に浄化するのであれば2~3回のセーブ&ロードで1つ狙えるくらい。
全員分作るにはかなりの周回が必要かつ、素材もしっかり集めておかなければいけない。
総評
シナリオやBGM、グラフィックが非常によく、システム面の不備にある程度目をつむれる人向け。
システム面も短納期で仕上げられたものにしては非常に丁寧な出来で、もう少し開発期間を取れていればまた快適になったのだろうなあと悔やまれる。
シナリオ面では百合としてのおいしさよりも、人の昏い喜びを満たす側面や、王道的に立ち上がり続ける主人公の強さが筆者に刺さった。
みらいから零への愛の重さとか、エンディング後彼女たちがどうするのかとか、ありえなかったみらい生還ルートを妄想するのも楽しい。
情報が明かされずにもやもやする部分がありながらもしっかり楽しめる内容だったので、システム面の不足を差し引いても筆者としては良ゲーだったように思う。
- あれの正体は未だにわかっていない。辺獄の空に2つ対になって存在するようである。目で言えば瞳孔に対応する。
- 筆者世代で言えばひぐらしのなく頃にと言えば伝わりやすいだろうか。
- Kanonの人。と言っても最近のプレイヤーには伝わらないかもしれないが。
- 千や悪魔も対象になっていることから、この記憶自体は厳密には幽鬼のものに限定されないようだ。
- 本人曰く、帰宅部の幽霊部員。
- 公式アートブックにて、趣味が写真であり、部屋のデータ閲覧時に広げているアルバムはみらいが作ったものだと言及されている。零だけでなく、セレマのアップ写真もたくさん貼られているので、セレマに対しての感情が否定的なものだけでなかった時期はあったのだろう。
- 恵羽千の父。検事で厳格な男性、妻帯者と、条件は満たしている。
- 彼女の守護者も名前がソクラテス。
- 零の背後に現れる幽体のように描かれる。いわゆるスタンド。
- ちゃんとワンボタンでスキップできるので、零ちゃんが泣くところを何度も見たくないプレイヤーにも安心の設計である。
- 久遠自身もバスケされながら「いい感じになってきました」とか言い始めるので、零ちゃんやばい妹に愛されやすい体質なのでは。