【ゲーム感想】Fate/EXTELLA

目次

  1. 前置き
  2. グラフィックス
  3. サウンド
  4. シナリオ/キャラクター
    1. ネロ/タマモ
    2. アルテラ
    3. 無銘
    4. ガウェイン
    5. クー・フーリン
    6. 李書文
    7. カルナ
    8. エリザベート
    9. 呂布
    10. メドゥーサ
    11. ギルガメッシュ
    12. ジャンヌダルク
    13. イスカンダル
    14. アルトリア
  5. システム
    1. 無双系陣取りゲーム
    2. やや未完成なUI
    3. 礼装のバランス調整
    4. ガードの存在
  6. やりこみ
    1. トロフィコンプリート
    2. レベリング
  7. 総評

前置き

筆者はSN、HA、EXTRA、CCCプレイ済み、Zeroアニメ視聴済み
FGOは6章にいる

毎度のことながら本作やシリーズのネタバレを含む可能性があるので注意

グラフィックス

かなり思い切ったモデルの作り方をしたなという感じ。
キャラクターモデルは動かすことに注力し、顔の造形をそこまで作り込まなかったのではないかと思われる。
ストーリーではそのあたりが目立ってしまうので(特に前作までを知っていると)辛いところがある。
しかしながら、無双アクションパートではほとんどキャラクターの顔を気にしている余裕はなく、しかしキャラクターを動かしている感が得られてとても良い。
会話シーンではやや残念なモデルが目立ちがちだが、それでも立ち絵がついているのでそちらを見ていれば耐えられないほどではない。

背景については、種類は抑えめだがなかなか綺麗にできているほうだと思う。

次回作があるとすれば顔パーツや肌の色味だけ改善がほしい。
ゲームの看板であるはずのネロや、ザビ子の目の大きさがシャープな輪郭に対して合っておらず、見た目的に少女漫画感が強くなりすぎてしまっている。
輪郭が丸めなタマモ、アルトリア、ジャンヌはさほど崩れているようには見えず、メドゥーサはそもそも普段目を隠している上、ブレーカーゴルゴーン時も目が小さいため違和感がさほどない。
また、目が細い男性陣のモデルも歪にはなっておらず、メインキャラだけやや残念というのが目立ってしまう。

肌の色味については「マネキン」という言葉が最も適切だろう。
光沢の付け方がかなり固く、肌の柔らかさや暖かさを感じられない。
電脳体とは言え、見た目まで無味乾燥にしてしまっては娯楽としていかがなものかと感じる。

無論、悪いところばかりではなく、服等についてはしっかりと作られており、3Dモデルを動かした時にありがちな服貫通が全く気にならないレベルで作り込まれている。
エクステラマニューバや宝具等、かなり激しい動きをする動作でもしっかりとなびくところはなびいてくれる。

サウンド

BGMについてはCCCの曲を使いまわしているシーンが多い。
新規曲も悪くはないが、良くも悪くもあまり印象には残らなかった。
BGMに徹してくれていてあまり主張しすぎないので、もうちょっと目立ってくれても良かったのでは、とすら思う。

シナリオ/キャラクター

ネロ、タマモ、アルテラを軸にした長めのメインストーリーと、それ以外のキャラ一人一人に焦点を当てた短いサブストーリーがある。

一つ一つのシーンで見れば良いところは少なくないのだが、全体で見ると良いとも悪いとも言い難い。
ムーンセル・オートマトンの性質をしっかりと利用して作られてはいるが、導入でプレイヤーを混乱させ、その混乱が完全にはなくならないまま終わってしまう感じがする。

前作までのストーリーで言えばネロと共に月の聖杯戦争を勝ち抜いた後という位置づけではあるが、完全にEXTRAの話の通りではない。
タマモが元々のマスターとの契約を終えて途中からザビ子とネロに協力していたりする。
それだけならばEXTRAシリーズを再構成してEXTELLAにつなげたのだなと納得できるのだが、敵として出現した遊星の始末が良くなかった。
彼らの存在が作中の説明だけで完結せず、不完全燃焼で終わったと言っても過言ではない。

なお、EXTELLAにつながるEXTRAの再構成については、奈須きのこのブログで公開されている。

ネロ/タマモ

この二人に関してはいつもの、と言わざるを得ない。
二人が同時に存在する世界は前作まででは描かれなかったものの、同時に存在したらこうなるだろうな、という想像がそのまま表現されている感じ。

終盤で明かされるネロのヴィーナススタイルは、Fateが元はエロゲだったことを思い出させてくれる。
タマモエンドの一枚絵が大変幸せで良い。

アルテラ

今作は彼女のための物語と言っても過言ではない。
FGO世界では以前から実装されていたようだが、元になった英雄は同一でも別人扱いとのこと。いつものFate。

シナリオ中の彼女はなかなかに頑固でもどかしい感じがするものの、終盤にかけてザビ子の人誑しスキルにすっかり溶かされてしまう。
巨神としてのアルテラと、英霊としてのアルテラのギャップもまた驚かせてくれるし、何と言っても未明篇ラストの一枚絵からの金詩篇への展開が非常に熱い。
巨神のほうが可愛すぎて、巨女属性ないのに目覚めてしまいそうなほど。

ゲーム中での性能も非常に使いやすく、筆者はフリーバトルベリーハード攻略をほとんどジャンヌと彼女で行った。
C5+追加入力を根本から当てると大型のアグレッサーもサーヴァントもみるみる溶かせるので気持ちがいい。

シナリオラストはよく言われる「もどして」ならぬ、「よくぞもどした」といった感じで素晴らしい。

CVは能登麻美子。FGOではスカサハ師匠も演じている。
巨神の時の柔らかい声と英霊の時の鋭い声がどっちも良い。勿論、「もどした」後のロリ声もたまらない。

無銘

メインから外されてしまった赤いアーチャー。
しかし扱いが悪いかと言うとそうでもなく、彼は彼でストーリー上重要な役割を担っているし、宝具時のBGMもいつもの専用曲。
とは言え、弓女主派にとっては痛恨の展開であることに変わりはなく、該当プレイヤーはムーンセルを呪ったことだろう。

弓による遠距離攻撃と双剣による近接戦闘とを使い分けられるので、スタイリッシュに戦えて楽しい。

ガウェイン

前作メイン組以外で唯一、以前のマスターに言及する人物。ぬんぬんおじさん。
借金取りネタは息を潜めた……かと思いきや、パロセリフがちゃんとある。「良いから燃えるのですッ!」

素直な性能で非常に使いやすい。
宝具の演出が非常にかっこいい。前作までのように「エクスカリバー」の後に溜めがない。

クー・フーリン

アーチャーと同じ陣営になってしまったアニキ。
クランの猛犬の獰猛さは変わらず。対軍である程度好きに暴れられるので、これまでのシリーズよりも生き生きとしているように見える。

宝具が今回は対軍仕様の投げボルク。投げる時のモーションがしっかり再現されているので、ファン必見。

性能的に素直だが、アーマー持ちに対する対策が少なくやや使いにくい印象。

李書文

二の撃ちいらず、大勢を相手に連打を放つ。
武と殺しに狂ったアサシンとしての側面は、彼のサブストーリーで存分に見られる。
それ以外では、意外と丸くなった先生を見ることができる。

素手なので攻撃の射程はやや短めだが、2段階の強化技で攻撃力を爆発的に伸ばすことができる。
高火力で短期決戦に持ち込めるため、なかなか使い勝手は良い。

カルナ

インドのカルナさん。ジナコについては言及せず。
タマモの参謀が板についている模様。

なかなかピーキーなアクションが多く、使いにくいが面白い。
特にC3のブラフマーストラ・クンダーラをうまく使えると気持ちいい。

宝具は前作やFGOのように上空から投げるのではなく、地上から水平に投げる。
発動後防御ステータスが下がるらしい。

エリザベート

何度も出てきて恥ずかしくないんですか。
エリちゃん、なんと今回は専用の歌唱楽曲を引っさげて登場。
しかもガチで、うまくなっている。
(が、作中では騒音扱いなのは変わっていない)

せっかく改心してFGOでも良い子だったのに、遊星のお陰で台無しである。
彼女の残念さは変わっていないのだが、遊星関係がしっかり完結しないのに釣られ、シナリオ的に彼女も宙ぶらりん。
次回作でちゃんとフォローしてくれるんだろうか。

性能的にはややゆっくりしつつ、さほど火力が出ない残念な感じ……かと思いきや、彼女のみガード不能攻撃を持っている。
高難易度の敵サーヴァントはしっかりガードしてくるので、それを気にせずゴリ押せる。

呂布

無双系で呂布。何も言うまい。
サブストーリーでは彼の心の中がわかったり、陳宮のヴィジュアルがラニそっくりだったりする。

性能的には遅い高火力の重戦車。
強攻撃にアーマーがつくので、深く考えずに使える。

メドゥーサ

SNから参戦したライダー。
桜のことについては特に言及しない。

サブストーリーラストの一枚絵が、ザビ子の時すごく良い。きましてる。

石化の状態異常が扱える。
相手を固めてからのブラッドフォート・アンドロメダが非常に強い。
スピードもあり、なかなか使いやすい。

ギルガメッシュ

いつもの英雄王。なんというか、いつもの。
CCC時代から引き続き「アメ」をくれるのだが、なぜだろうか。
(宝具の雨とかけているだけ?)

彼のサブストーリーは完結しておらず、不完全燃焼でつらい。

ジャンヌダルク

ポンコツ聖女。まともなキャラではあるのだが、それ故か影が薄い。
彼女のサブストーリーはアルテラとの百合妄想が捗る。

性能は割と散々。
アーマーのついた相手に対する対策がアニキと同じく少ない。
また、アニキよりも通常攻撃の振りが遅く、サーヴァントを殴るのがまず難しい。
攻撃力も低く、宝具もいわゆる「メガンテ」。
唯一防御面はやや優れているらしいが、インストールスキルでいかようにも補えることを考えるとさほど利点にはならない。

エクステラマニューバがなかったら完全な死にキャラになっていたことだろう。
このポンコツ聖女、なんとかならなかったものか。

イスカンダル

征服王。Zeroの記憶があるようなないような感じ。
豪快な男であるところはZero同様。しかしジャンヌ同様影が薄い。

性能は良いほう。
移動速度は遅いものの縮地で補えるし、攻撃範囲が広く火力もある。

アルトリア

SNの青セイバー。Fateの顔。
ネロと同じ顔のはずなのに、モデル上はこちらのほうがやや丸みがあり、ネロよりも違和感が少ない。
腹ペコなところもいつもの青王。

性能は作中トップクラス。アルテラに並ぶほど強く、使いやすい。

システム

無双系陣取りゲーム

単純に敵のボスを倒すゲームではなく、敵を倒してエリアを制圧しつつ自陣を広げていくもの。
ある程度エリアを取るとボスが出現し、ある程度取られると負けである。
自陣が襲撃されることもよくあり、救援に向かうか別のエリアを制圧するかの選択を迫られる。

全て制圧しようとすると1ステージ辺りにそこそこ時間がかかってしまう。
ステージ次第だが最も使いやすいキャラでも10分以上かかり、使いにくいキャラだとそれ以上。

緊張感はあるのだが、それ以上に操作が忙しくて楽しいがやや疲れる。

やや未完成なUI

戦闘のUIは特に問題ないが、それ以外の細かいところにまで手が回っていない。
所持している礼装のソートや検索がなく、後半になって大量に礼装を所持している状態になると探すのが大変。
礼装ガチャで良いものを引きたくても、今持っているものと見比べることができずにつらい。

ステージごとにクリアランクを見るにも、一度ステージを選択しなければならず、一覧性がない。
全ステージベリーハードクリアをトロフィで求められるため、この一覧性のなさは致命的。

礼装のバランス調整

礼装には最大4種類のコードキャストが付与されており、それを一つだけ装備することができる。
コードキャストは特定の属性のトラップを防いだり、HPを回復したり、一時的に攻撃力を上昇させたりする。

ステージに仕掛けられたセクタートラップの対策でつける礼装が固定化されがち。
3種類以上のセクタートラップがあるステージは遮断のプリズム固定。
高難易度になるとそういったステージばかりになるのが辛い。
そうでないステージでは攻撃面でバランスの良い征服者の大剣になりがち。

前述のUIの問題もあり、礼装については全種類揃えた後はプリズムと大剣以外使わなくなってしまった。

ガードの存在

前作までと違い、ガードしていればたいていの攻撃を防げる。
敵についてもこれは同じで、ガードされていると全く攻められずイライラする。
ガードを割る手段があれば良かったように思う。
無論、その場合はガード不能攻撃を唯一持つエリザベートにもう少し良い性能を与えなければならないが。

やりこみ

トロフィコンプリート

筆者は1ヶ月でコンプ。土日にガッツリプレイしていたためこれくらいの短期間で済んだ。
クリア済みステージが一覧できない問題のせいかややストレスはあったが、アルテラが強力だったのでそう苦行でもなかった。

礼装コンプは、持っていないものが何なのか知る手段がなく辛かった。
作れるようになったら即作ってしまうくらいが良いだろう。

レベリング

自分よりもレベルがやや高いステージに行かなければレベルはほぼ上がらない。
ステージの最高レベルが74とかなので、それ以上はなかなか上げられないだろう。

総評

Fateシリーズのキャラを操作して無双できるので、ファンアイテムとしては上々。
ゲームとしてもう少しバランスやUIをしっかり整えていけば、よりストレスなく遊べるはず。
あとは、ポンコツ聖女がもう少し戦いやすいように、どうか、どうか……!

シナリオについては単体で完結しなかったというのが大きなマイナス。
前作までを知らなくてもある程度はついていけるよう工夫がなされているが、完結しない作品は評価のしようがない。

キマシ力のあるシーンがいくらか絵で見られたのは非常に良かった。