【ラノベ感想】ハイスクール・フリート いんたーばるっ２
シロちゃん中心だった前作と違い、色々なキャラに焦点を当てた作品
今作及び前作、アニメ本編のネタバレあり
そして筆者は百合豚であることはもはや言うまでもないだろう
概略
アニメ「ハイスクール・フリート」の物語の合間にあったゆるふわな日常を描く全5話の短編集
アニメで描き切れなかったキャラクターの魅力を詰め込んだファン向け作品、というのは前作同様
ただし、今作は前作以上にアニメ本編の内容に触れるため、これから読む人は一度本編をおさらいしておくと良いだろう
どういう人向け？
前作同様、アニメを見てキャラクターの魅力にハマったものの本編での掘り下げが物足りなかった人向け
この子出る？
ほぼ全員が登場する話のあった前作と違い、作中に一切描写されない子がいる
全く登場しないか、ほとんど出番がなく目立たないのは秀ちゃん、空ちゃん、桜良ちゃん、ほっちゃん
逆に今作でスポットが当たっているのはクロちゃん、メイタマ、レオ、ルナ、ミミちゃん、ヒメちゃん、みなみさん、メグちゃん、まゆちゃん、リンちゃん、ココちゃんの辺り
ほぼシロちゃんを中心に回っていた前作と違い、目立つ子が増えている印象
あとがきを見る限りでは作者は三巻、四巻も視野に入れているようなので、名前すら見なかった秀ちゃんとかはそちらに期待したいところか
第１話
前作の半舷上陸の残り半分
つまり、シロちゃんと一緒の班になれず大敗北してしまったクロちゃんのいる班
とにかくシロちゃんのことばかり考えているクロちゃんを中心に話が進むが、シーンによって他の子の視点になったりもする
クロ→シロばかり書かれているわけではなく、ちゃんとマロンちゃんとの関係も書かれているのが良い
この構成については前作の１話とよく似ている感じも
レオちゃんがただのおっさんだが、良いぞもっとやれ
ルナレオも熱いかもしれない、という新たな可能性も見える話だった
第２話
半舷上陸した面々と違い、アニメ本編４話の「カレーなんか食ってる場合じゃねーッ！」事件で禁固中のタマちゃん（＋メイちゃん）の話
アニメでもメイタマで倉庫整理している場面があり、その前後で二人の距離がぐっと近づいたような描かれ方をしていたが、その経緯をメインに書かれている
晴風の皆はそれはもう優しい子ばかりで、二人を心配して倉庫を訪れる子が後を絶たず千客万来、あまりにも賑やかな禁固刑になっている
かと思えばそれが途絶えた夜パートではしっかりメイタマでイチャイチャしてたりするので、メイタマ好きは２話のために買って損なしと断言できる
アニメでは単なる撃ちたがりの側面が強調されていたメイちゃんの、意外にも人をよく見ている一面が書かれていて大変良い
第３話
みなみさんと晴風の皆の関係について
アニメで描かれたシーンも挟まっており、そのあたりは本編を見てから読むとより楽しめる
故事成語大好きな天才、しかしてその実態はお茶目な十二歳の女の子、という描かれ方をしていたアニメ本編だが、この話ではその内面にある葛藤や心境の変化、成長を描いている
２話の禁固中の二人に負けず劣らずの千客万来っぷりなので、色々なキャラが出てくるのも楽しい要素の一つ
……しかしまあ、十二歳にしては達観し落ち着き過ぎてるのは確かか
難しい、普段使わないような故事成語がバンバン出てくるものの、大抵はみなみさんが解説してくれるので読んでいて詰まるようなところはない
第４話
この日はなにもなかった。いいね？
メグちゃん（と五十六）を中心に据えた晴風艦内の小さな冒険が描かれる話
ココちゃんやモモちゃんも巻き込み、五十六を追う先で彼女たちが見たものとは！
サトちゃんが目立ったり、万里小路さんが相変わらず女神だったり、ココちゃんの冷静さ（あるいはドライさ）が描かれているのも印象的
何より、冒険の終着で見たあのシロミ―爆弾がキマシ的にやばい
筆者も寝る前にゆっくり読んでいたところ目がきっちり冴えてしまったほど
パジャマでガッチリ抱きついてる挿絵もあり、秒を数える前に塔が打ち立てられる姿を幻視した
その後の彼女らの反応も実に良い
シロミ―、そういうのも、ありだと、思います
第５話
アニメ最終決戦直前のリンちゃんメインの話
アニメでは艦長と、前作ではレオちゃんと絡んでいたが今回の相手はまゆちゃん
こうして見るとリンちゃん意外と女たらしである
やっぱな、幼馴染って、良いな……！
まゆリンが大変熱いこの話だが、３話のみなみさんの成長も絡めた描写があるのも見逃せない
総じて
キマシ的な描写は総じて抑えめだが、１話のルナレオ、表紙の挿絵と２話のメイタマ、４話のシロミー、５話のまゆリンと内容的に豊作と言って良い割合
１，３，４話で晴風メンバーそれぞれのキャラクターも少しずつ掘り下げられていて、ファン向け作品としては上々のように思う
前作同様、大変おいしゅうございました